壮麗な嵐山宝厳院と、涙の焼き肉 〜ナイトメア・イン・京都-2
京都旅行2日目である。
1日目は二条城ライトアップ感動拝観。ところが抹茶ソイラテでアレルギー発作を起こし、苦しい夜を過ごしてしまった。
今日の夕方は、二条城を一緒に回った彼女と、嵐山の宝厳院ライトアップに出かける。現地では、彼女が呼んだ細マッチョの若い好男子とも合流。寺院に詳しい二人と一緒で心強い。
さて、体調回復で調子を取り戻し、食欲も出てきた夜。
今夜は今夜で、斜め上からの悪夢に見舞われるのだが……。
↑初日、感激の二条城とアレルギー発作に泣いた夜
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▼凜とした佇まい・宝厳院、光の紅葉
宝厳院:大亀山宝厳院は、臨済宗天龍寺派・大本山天龍寺の塔頭寺院。
もみじの寺として人気が高く、夜間のライトアップはひときわ楽しみ。
ここからは、寺院を回遊する感覚で写真を一緒に見ていただきたい。
▼今夜の救世主、高級焼き肉
これだけ美しい宝厳院だが、実は途中から気もそぞろ。
一歩踏み出すごとに、おなかががグーと鳴ってしまうのだ。
朝からほとんど食べていない。
昨夜のアレルギー発作のせいで、口にしたのはたこ焼きと白湯だけだ。
あけてもくれても白湯続き。
完全回復した今、私はただの飢餓女である。
同行した彼女と細マッチョ好男子は写真撮影に余念が無い。
ここがキレイですよ、ここいいですよとおもてなし心いっぱいの天使たち。
ああ、無上の親切、最高の笑顔ではないか。
言えないよ、もう帰りたいなんて。
はらぺこで死にそうなんて。
もう宝厳院はどうでもいい。
空腹は芸術を解さない。
─お腹減りすぎのため、時飛ばし─
ようやく、細マッチョ好男子おすすめの焼き肉屋に到着した。
ここに来るまで長かった。
焼き肉屋の存在が、ただただ神。
店内には食欲を刺激する匂いが充満している。ジューッと脂の焼ける音。ちょっと煙い空間に、胃袋が刺激されっぱなしだ。
いよいよ至福の肉三昧がスタートする。
予想を超える肉の旨さに舌鼓。特に特選ロースのとろけ具合は涙もの。
サラリとした脂がふわっと溶け、旨みだけが舌の上に留まる。
ああ、極上の味わい。
もちろん、お値段だってそれなりである。
ところが細マッチョ好男子、特選ロース、特選カルビをこれでもかこれでもかと追加注文。
いやいやそれ、贅沢すぎる。
上カルビでいいんだって。
私、仕方がないから控えめに、ホタテと海老など頼んでみた。
ところがこれ、写真だとわかりにくいが、プリップリの大きくて肉厚な海老と巨大ホタテ。こちらも目を見張るばかり。
「特選」なんて、一皿頼んでひとくち食べて、うわぁって喜ぶもんだと思ってた。
それがいま、テーブルにズラリと並んでいるのだ、特選皿が。
これ、夢にまで見た「高級肉を死ぬほど食べ尽くす」状況ではないか。
まさに天国、パラダイス。
頭にお財布の心配はよぎったが、一世一代、旅の恥ならぬ旅の贅沢。
やってやろうじゃないの。よっしゃよっしゃ!!
▼肉が憎い……哀しく悔しい夜の顛末
が、こちらの胃袋も生き物である。
超肉厚とろけるカルビが、とうとう反旗を翻し始めた。
今までカラダが歓喜の声を上げていたのに、……もう受け付けない。
いや、すでに気持ち悪い。
あと一口食べたら、きっと毒に変わるだろう。
わかっている。わかっているけど手つかずの特撰皿が気になって、残しちゃ悪いと1枚、2枚、極上ロースを口に運んだのが悪かった。
うう、のど通らない。
飲み込めず涙目になる。苦しい……。
さすがに私、限界宣言したのだけれど、細マッチョ好男子はまだ追加注文。さすが若者、限界知らず。
ホテルに戻り、またもやベッドに倒れ込む。
今日はさすがに体調崩しはないけれど、食べ過ぎと胸焼けでムカムカムカムカ。
ああ、高級肉に舌鼓を打ちすぎた。
いじましくも肉天国に酔いしれて、限界通り越して、もはや肉の二日酔い状態。
細マッチョ好男子、私が肉好きということを知り、ご馳走までしくてれた。心づくしのおもてなしだった。
いくら感謝してもしたりない。
いや、罪悪感で哀しいくらい。
彼女もそうだが、二人の暖かさが身にしみるたび、自分が情けなくなる。
だってもう、肉を見るのも嫌なのだよ。
バチ当たりにも、胸焼けしちゃって寝られない。
京都2日目の夜もナイトメア。
今は肉を恨み、夜中に整腸剤求めてドラッグストアを探し歩くナイトメア。
あんな高級肉を毛嫌いする夜になろうとは。
何やってんだか……。
そしてふと気づいた。
昨日と今日の悪夢続き、きっかけはアレだったりして。
京都に到着し、すぐに立ち寄った古本市──。
次回、おまけの最終話「“地獄”置いてけぼりの前日譚 〜ナイトメア・ビフォア・京都-3」に続く
<後日談>
この記事を書き、自分の身勝手さを猛反省。高級焼き肉の胸焼けから2日も経つと、美味しすぎたお肉の味が蘇った。
細マッチョ好男子には感謝の気持ちでいっぱいだ。もちろん、2夜を一緒に過ごしてくれた彼女にもである。
ホテルの夜はナイトメアでも、彼女らとの時間はハッピーだった。