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歌声に寄り添い、救われる、意地っ張りの小さな夜。

迷いっぱなしの人生です。
思えば友だちも恋人も、仕事も結婚も、今日食べるものも着るものも、右に行くか左に行くか、自分なりに選んできた結果が、今のわたしです。
意地を張って失敗ばかり。記事にしたいけどできないようなネタだらけ。

年齢を重ねると、迷いなんかなくなると思っていました。
そんなことは全然ない。
お別れやあきらめも多くなり、自分への誤魔化しも上手になって、人生、このままでいいのかな、なんてぽかーんと考えることも多くなり。

そんなとき、ある曲の歌詞がふっと心に染み込みました

Desperado why don't you come to your senses?
You been out ridin' fences for so long now

こんな出だしで始まる、イーグルスの『デスペラード』

歌詞全体は、おおよそこんな意味合いでしょうか。

ねえ意地っぱりのきみ。
迷いの旅を続けるのはよしなよ。
きみの思う世界だけをかたくなに守り続けるつもりかい?
そのフェンスの見守りを続けるつもりかい?
自由を求め続けてきたんだろうけど、孤独と冷たさも感じているんだろう。
もう若くはないのだから、
そろそろ心の温もりに気づいてほしい。
きみを愛するひとがいることに気づいてほしい。
人生は短い。愛が手遅れになる前に、どうか気づいて。


『デスペラード』の歌詞を、わたしなりに大胆意訳で短く短くまとめてみました。

作詞したドン・ヘンリーは、友人のために『デスペラード』を書きました。
愛や人とのつながりを見つけ出してほしいと促すメッセージが込められています。




わたしにも、こんなことを言ってくれる誰かがいたらいいだろな。
こんなことを言ってあげたい誰かの顔も浮かびます。

忙しいときは闇雲に頑張って、わけもなく疲弊してしまう。
ともすれば、もやもやっとした寂しさに襲われてしまう。

そんな夜に『デスペラード』を聴くと、
切なさにチクチクして、やがてじんわり温まってきます。

古びてカチカチになった心が、メロディと共にゆっくりほぐれていくのがわかります。


▲YouTube Eaglesチャンネルより
Desperado (2013 Remaster)
セカンドアルバム『Desperado』1973年収録


最近、noteに音楽記事を掲載したおかげで、いろんなnoterさんのコメント欄で音楽談義に花を咲かせることができました。

誰かと好きな本や映画や音楽のことを語り合うと、新しいことに気づかされます。些細なことでも、違った感動がやってきます。

『デスペラード』も、そんなやりとりの中でごくごく自然に出てきました。
70年代の懐かしい曲。知ったのはもっと後だったけど、もう長いあいだ聴いていなかった曲が、いま再びわたしの中に甦りました。

音楽は本と違って、1曲聴くのはほんの数分。それで世界観が味わえます。
こんな短い時間に想いが伝わるのって、すごくステキ。


『デスペラード』がヒットしたきっかけは、リンダ・ロンシュタットでした。1973年のことです。
稀代の歌姫・リンダがカヴァーして特大ヒットを出した後、本家本元イーグルスとしての『デスペラード』は後追いのようなカタチで広まりました。

その後、この名曲は多くのミュージシャンに次々とカヴァーされていきます。


せっかくですから、最後は超豪華ミュージシャンによる『デスペラード』のカヴァーを紹介したいと思います。
特別お気に入りのカヴァーだけのピックアップです。


Desperado デスペラード 聴き比べ


●カヴァー リンダ・ロンシュタット Linda Ronstadt

歌姫リンダの柔らかで情感たっぷりのボーカルは、ときおり力強さも加わって圧倒的です。バック演奏はまさかのイーグルス。この歴史的瞬間の共演をお見逃しなく。YouTubeのコメントには「彼女がイーグルスを作った」と感動と絶賛の声も多数あり。

▲YouTube Smurfstools Oldies Music Time Machineチャンネルより
NEW * Desperado - Linda Ronstadt "Live" {Stereo}
アルバム『Don’t Cry Now』1973年収録



●カヴァー カーペンターズ Carpenters

まさにカーペンターズっぽいアレンジが楽しめる『デスペラード』は、1983年、カレンの死後に発表されました。
カレンの染み入る歌声に、体が波打つように震えます。歌声に涙する、わたしにとって数少ないボーカリストのひとりです。

▲YouTube Carpentersチャンネルより
Desperado
アルバム『Voice of the Heart』1983年収録



●カヴァー ダイアナ・クラール Diana krall

ジャズアレンジの『デスペラード』をダイアナ・クラールで。とびきりカッコいいクラールの乾いたスモーキーなボーカルに、近年ずっと注目しています。オリジナルとは違う世界観。もっとスローでメランコリック。惚れまくりのひとときです。

▲YouTube Diana Krallチャンネルより
Desperado
アルバム『Wallflower』2015年収録


楽しんでいただけたでしょうか。

お気に入りのボーカリストの『デスペラード』をBGMに、記事をお読みくだされば、最高に最高に!嬉しいです。

欄外に『デスペラード』のオリジナル歌詞を貼り付けました。


ではまた次回、お会いしましょう。


●Desperado オリジナル歌詞
作詞:Don Henly 作曲:Glenn Frey

Desperado why don't you come to your senses?
You been out ridin' fences for so long now
Oh you're a hard one
I know that you got your reasons
These things that are pleasin' you
Can hurt you somehow

Don't you draw the queen of diamonds boy
She'll beat you if she's able
You know the queen of hearts is always your best bet
Now it seems to me some fine things
Have been laid upon your table
But you only want the ones that you can't get

Desperado, oh, you ain't gettin' no younger
Your pain and your hunger, they're drivin' you home
And freedom, oh freedom well, that's just some people talkin'
Your prison is walking through this world all alone

Don't your feet get cold in the winter time?
The sky won't snow and the sun won't shine
It's hard to tell the night time from the day
You're losin' all your highs and lows
Ain't it funny how the feeling goes away?

Desperado, why don't you come to your senses?
Come down from your fences, open the gate
It may be rainin', but there's a rainbow above you
You better let somebody love you, before it's too late

KKBOXのサイトより引用


和訳歌詞については、公式サイト見つからなかったため、著作権の関係上、noteの記事には掲載していません。
ですが「デスペラード 和訳歌詞」で検索すれば公式外のサイトにはすぐ行き着きます。そちらで和訳をご覧ください。



今回の記事は、本当は「 “ネタ系音楽事典”で遊ぶ。〜辞書コラム 番外編」をお届けするつもりでした。
ですがどうしても『デスペラード』の感動をお伝えしたくなり、先に投稿してしまいました。
“ネタ系音楽事典”「番外編」については、次回以降に投稿しようと思います。