
おでんは煮込みすぎず、放ったらかしで大成功!
冬に欠かせないメニュー、おでん。
でもおでんというのは寒いからの特別感であって、味的にはまあ、普通。ところが今年はその凡庸さを克服し、絶妙に美味しいおでんに変身した!
コツは1つだ。ちょっと煮込んだら、もう手をかけない。これ絶対厳守。
●京都の割烹屋で極上おでん
年末、京都の割烹屋でおでんを食べた。生まれて初めて、味そのものを美味しいと感じた。大根と牛すじだったが、いや、もう極上の煮物だ。出汁に雑味がいっさいない。透明で澄んだ出汁。練り物なんかの旨みがごちゃごちゃしていない。
なにこれ・・・。
そんな私の反応を見て、女将さんがふふっと不敵な笑みを浮かべた。
「コツなんかあらしませんわ。お昼ぐらいにささっと作って、夕方にお出ししますねん。毎日それの繰り返しですわ。醤油? 使いまへんで。ご家庭で作るんやったら白だしでもええと思いますよ。ちょっと昆布くらいは足してほしいけど」

●女将の言葉をヒントにおでん作りに挑戦
はい! 十分なヒントをいただいたので、旅行を終えるや否や待望のおでん作りに挑戦した。これまでの自分のおでんレシピは、とりあえず全消去。

まず大根を3センチ厚さに切って面取りし、味しみが良くなるようバッテンを入れる。2人分だが、私は大根まるごと1本使った。量はお好みで。
下ゆでナシ。鍋に大根を入れたら、ひたひたの出汁を注いで煮込む。
女将の得意げな顔を思い出し、もちろん醤油は使わない。
ここで大根の総重量の1%の塩だけは追加する。塩を振って煮込むと素材の形が崩れず旨みが閉じ込められる。( 塩の記事参照! ↓)
鍋で煮込むのは大根だけ。出汁は自家製昆布の合わせ出汁を活用した。女将いわく、市販の白だしでも大丈夫。ちょっと小さめの昆布3枚ほども入れておく。蓋してこのまま弱火で煮ること20分。
以上で終了! 火を止めたらそのまま放置。
はぁ〜!?
そんな声が聞こえてきそう。でもこれが女将の言葉をヒントにした私の結論だ。「ささっと作る」のだから、これでいいはず。
とにかく20分経ったら潔く火を止め、放置する。煮物は火を止めた瞬間から味がしみ込む。だからじっくり時間を置く方が、絶対に美味しくなるはずだ。長時間煮込むとグダグダになるだけじゃないかと想像する。
●勝負は火を止めてから!
私の愛用・ストウブ鍋は保温性が高いため、そのまま放置してもなかなか冷めずにじんわり味がしみ込んでいく。
普通の鍋なら、煮込みを30分、火を止めたらバスタオルなどにくるんで放置。急激に冷めさせないためだ。
とにかく冷めるまで、“ゆーっくりじんわり”を心がける。
そして食べる前まで蓋は絶対に開けないこと!
温度が下がる! 味しみにじんわり温度は何より大事。
私は朝に大根を仕込み、そのまま放置しておいた。
●夜、食べる前におでんらしく仕上げる
わが家の夕食は19時。その30分前に鍋の蓋をおもむろに開けて味を確認。
う、うまい・・・‼ 狙い通りの味が出ている。早くも感動だ・・・。
最後に、一応おでんらしく仕上げていこう。
再び鍋に火を付け、ちくわやさつま揚げなどの練り物と、ふわふわ昆布を投入する。好きなものならなんでもいい。
これらは元々旨みのある具材。最初から大根と一緒に煮込んでしまうと、いろんな味が出汁と混ざる。それが雑味になってしまう。
この情報は、かなり前にNHK「ためしてガッテン」でも言っていた(ような気がする)。
だから食べる直前、15〜20分だけ大根と一緒に煮込むのだ。
練り物を鍋に投入して火を付けたら、同時に半熟のゆで卵を作る。
皮をむいたら、煮込み途中の鍋に素早くイン。
練り物投入から15~20分経ったら火を止めて、10分くらいちょこっと寝かせる。



我ながらあっぱれな出来映えではないか! 味しみしみ大根、とにかく箸が進む、進む。
ゆで卵も黄身がパラパラになりすぎずしっとり。
私も割烹料理屋やれるんじゃないの?ってうそぶくほど浮かれてしまう。
ここで女将の言葉を思い出した。「毎日それの繰り返しですねん」
・・・毎日作るということは、このおでん、翌日まで持ち越さないのか。
一晩置いたらさらに美味しくなりそうだが、果たしてどうか・・・。
●作り方のおさらい
① 大根は、午前中かお昼に塩と出汁で20〜30分だけ煮てそのまま放置。
蓋は開けない! 普通の鍋なら保温のためにバスタオル等で鍋を巻いて保温する。
② 夜、食べる前に蓋を開ける。再び火を付け、練り物やゆで卵、肉類を投入して15〜20分煮込む。
簡単だし美味しいし、必要以上に褒められた。このやり方で数回トライ、100%成功している。ぜひ、お試しいただきたいシンプルな作り方だ。
あ、翌日に持ち越したおでんは、少し苦みを感じた。
私はこの程度ならOKとしたいが、確かに当日の方が断然美味しい。
さて先週末、東京近郊は久しぶりの雪に覆われた。
見慣れた景色も雪・雪・雪だ。この日も勿論、おでんで暖まった。
雪景色を肴に熱々ほっこりの晩ご飯。しみじみするなあ。
