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薮入り

「かくばかり偽り多き世の中に子のかわいさは誠なりけり」

大人になって仕事のこと、人と人とのこと、お金のこと…。色々なことが身の回りを通り過ぎていきます。大人はこんな世界で生きているのだということを子供の頃は想像できませんでした。かといって精神が大人になったかというと、考え方の幹はせいぜい中学生頃から一向に太くなっていないような気がします。もちろん横枝はぴょこぴょこ飛び出してはいますが、枝打ちをして最後に木材として残るもの、芯となるものは対して変わっていないような気がするのです。

三遊亭金馬師匠の「薮入り」など、いくつかの落語で持ち出される冒頭の句。「薮入り」とは昔の商家などに住み込みで働く奉公人が旧暦の1月16日と7月16日に実家などに帰省することを許された日だそうです。会社員として勤めの身である私も、育休をいただいて家に入り育児をしているので、例えるならば現代の薮入り中でしょうか。我が子を見ていると、可愛いことはもちろん、口から栄養を摂取し基礎代謝を稼働させ、微笑み、泣き…など命の誠の部分はもうすでに出来上がっているのだと感じます。

とすると、大人があれこれやり取りしている雑枝の部分はなんなのでしょう。なんだかバカらしくなってくるような気がするのです。それらを構っている間に幹にウロが入らないよう、子の姿を見習いたいものです。

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