瀬戸内の、光と風に魅せられて。
最終日の朝、雨予報だったにも関わらずお天気は予想外の晴れ。
部屋には、朝の光が静かに差し込んでいて、窓の外は変わらず凪の海。
朝ごはんは、鯛めしのお弁当だった。
お弁当箱を包むデニムの風呂敷も可愛い。
朝食の後は、少しだけ海沿いを散歩した。
夏の朝みたいな爽やかな空気に、ふかく、深呼吸をしたくなる。
海の近い街は、内地よりもひと足早く夏のような空気を感じるので好きだ。
お宿をチェックアウトした後は、倉敷へと車を走らせる。
まずは、道路に面した小さなカフェで朝のコーヒータイム。
通りを行き交う車の音、深煎りのアイスコーヒー、焙煎した豆のいい香り。
静かな店内で、静かな朝の時間を過ごす。
その後は倉敷の美観地区を散策して、写真を撮ったり、素敵なお店で器を見たり。
昼食は、少し倉敷から車を走らせて、水辺のピザ屋さんへ。
緑豊かなお店の入り口をくぐって席に着くと、
お店のすぐそばを川が流れていて、ひんやりとした涼しい風が通り過ぎてゆく。
ふわふわパリパリのピザをたっぷり食べて、満腹状態で畳の上で足を伸ばす。
旅をした三日間の中で、何度「いい風だねえ」という言葉をふたりで交わしただろう。
瀬戸内の好きなところは書ききれないくらいたくさんあるのだけど、
通り過ぎてゆく心地よい風も、やさしい日の光、月の光も。
キラキラの木漏れ日も、やわらかい木々の緑色も、瀬戸内海の青色も。
そのすべてが、私の心をつかんで離さない。
愛しくて、恋しくてたまらない。
生まれ育った場所からも、今住んでいる場所からも遠く離れているのに。
なぜかこんなにも帰りたくなる、心をゆるり解き放ってくれる場所。
きっとまた近いうちに、会いにいくね。
一緒に旅をしてくれた彼女へ、ありがとう。