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二年ぶりの帰省。

11月初旬、仕事の新潟出張に合わせ、二年ぶりに実家へ帰省した。

家の前に着き母の車を降りる。
11月初旬の新潟の夕暮れは、もう秋の終わりの気配がする。

実家に足を踏み入れるとまず、小さな違和感がいくつか湧いてきた。
玄関のドアってこんなに小さかったっけ?
天井はこんなに低かったっけ?
知っているんだけど、知らない人の家にきたような、不思議な感覚だった。

しかしひとたび暖をとって、家族で食卓を囲み夕飯を食べているうちに、そんな小さな違和感も少しずつ薄れていった。
身体が空間に馴染んでくるというか、ああやっぱり、ここは私の実家なんだ、とようやく腑に落ちたというような。
父と母は食べきれないほどのご飯を用意してくれて、お酒を飲んで、にこにこと楽しそうに笑っている。

翌朝起きると、母がコーヒーを淹れてくれた。
まだ薄暗い台所に湯気がのぼる。
急いでフィルムカメラを取り出し、シャッターを切る。
「こんなところ撮っても散らかってるのに」と母は笑う。

朝食の後は、二階の階段の踊り場に寝転び、ただただぼうっと空を見た。
秋冬の新潟では珍しい、雲ひとつない青空が広がっている。

日の当たる場所で寝転んでひたなぼっこをしていると、暖房などつけていないのにぽかぽかとあたたかい。
気がつくとすこし、眠っていた。

都会へ行って暮らしたい、そう思っていたのに。
もうここに住むことはない、そう思っていたのに。

それでもやっぱり、東京でどんなに憧れていた街に住んでもやっぱり、紛れもなくあそこは私の故郷だ。

みんなで布団を並べて眠る居間、
すこし建て付けの悪いトイレの扉、
秋になると柿の実がなる緑の庭。
ご飯のお供などいらない、白いつやつやのお米。
それらすべてが今のわたしをかたち作っているのだとおもう。
それはきっと、望む、望まないに関わらず。

これから新潟は長い冬に向かう。
次帰る時には、一面の雪景色が見れたらいいな。

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