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【音楽と日常】インクイジション(Inquisition)

ゲーリー・ムーアを追いかけるようになり、参加していたグループやセッションのアルバムを片っ端から聴いていった。
その中で私の心を捉えたのは、コロシアムⅡ(Colosseum II)だった。

コロシアムⅡは、1975年に元コロシアム、テンペストのドラマー、ジョン・ハイズマンをリーダーとして、ギタリストのゲーリー・ムーア、キーボード奏者のドン・エイリー、ベーシストのニール・マーレイ、ボーカリストのマイク・スターズの5名で結成されたプログレッシブロックバンドということだが、わたしの中では、コロシアムⅡはジャズ・ロックバンドだ。

ボーカリストのマイク・スターズは直ぐに離脱して4名編成となり、セカンドアルバム「エレクトリック・サヴェイジ」からベーシストがジョン・モールに交代している。

メンバー個々が卓越したテクニックを持ち、インプロヴィゼーションが存分に発揮された演奏は秀逸だった。
3枚のアルバムをリリースしたが1978年に解散。活動期間は3年余りの短期間存在したバンドだった。

ボーカリスト離脱以降、必要に応じてゲイリー・ムーアがボーカルを担当するという形態になり、セカンドアルバム以降はインストルメンタルの曲が中心となっている。

コロシアムⅡの楽曲の中で私の心を捉えたのは、サードアルバム「ウォーダンス」に収録されていたインクイジション(Inquisition)だった。
日本語に訳せば、異端審問

イントロからマイナー基調のスピード感溢れるフレーズで始まり、ジョン・ハイズマンが紡ぐ細かく正確なリズムとゲイリー・ムーアとドン・エイリーの掛け合いの演奏で、音楽は複雑に絡まりながら進行する。
ゲイリー・ムーアはレスポールスパニッシュギターを併用して哀愁のあるフレーズを奏でる。

終盤、マイナーからメジャー転調するところが最も好きなところだ。
一瞬希望が湧くような印象を与えるが、すぐにマイナーに戻りエンディングを迎える。
全体を通して情熱と哀愁を感じる曲調は、聴くたびに魅了される。

数年前、YouTubeでコロシアムⅡがインクイジションを演奏する動画を見つけた。BBCで収録された「Sight and Sound in Concert 1978」。
インクイジションを演奏するコロシアムⅡの映像を観たときは感激した。
ゲーリー・ムーアとジョン・ハイズマンは既に故人となっているだけに、映像でみる4人の演奏は興味深く、二度と生で観ることができないのが残念でならない。

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