会話文をライティングに変換するリテリング活動(コミュニケーション英語Ⅲ )
※追記※
使用したワークシートにおいてexperience to lose…と不定詞の形容詞的用法を用いていますがexperienceは同格表現はof ~ingを用いるため、後日訂正しました‥。
コミュニケーション英語Ⅲにおいて、インタビュー形式の教科書を説明文のライティングでRetellするという活動を行いました。今回の授業で私が意識したこと、学んだことは
◯音読・リテリング箇所を生徒の選択させる
◯話し言葉を書き言葉に変換する際に気をつけること
◯生徒が思考する余地を与え、機械的なReproductionを避ける
◯リテリング内容と次時の接続
です。
①使用教材
教科書 CROWN English CommunicationⅢ (三省堂)
単元 Lesson2 God's Hands Section1
このレッスンでは外科医の天野氏へのインタビューを通じて外科医としての成功の道のりや大切にしていることが述べられています。
今回取り扱ったPart1では、幼少期、高校時代、大学卒業後、父の死という4つの場面について述べられています。
②内容理解の手順
内容理解は以下のように2時間構成で行いました。
1時間目
新出語句の導入、年表の( )埋めによる概要理解、TF問題による詳細理
解、英問英答による文同士の繋がりの理解
2時間目
日→英のWord Matching、難解な文章の訳読
本時は、これらを踏まえた3時間目の授業になります。
③リテリングの授業展開
①Oral Introduction & Pair Work
英語で発問を投げかけ、ペアで意見交換をさせます。
"What is necessary to become a good adult ?"
・curiosity ・tireless effort
・communication skill ・the experience to lose something important
ペア、クラス全体で意見をシェアしたのち、「たくさんある人生の要素のうち、なぜこの4つの選択肢を選んだか」と問いかけます。勘の良い生徒はLesson2 Section1で述べられている内容の要約だと気づきます。
Curiosity:幼少期に小児科医の本や聴診器に興味があった
Tireless effort:高校時代の勉強
Communication Skill:医者になってから現場に求めたもの
The experience to lose something important:父の死
ここで、以下のリテリングシートを配布します。
先のPair Workでは、あなたにとってという観点でしたが、今度は教科書の天野氏にとってはどれが重要だったかと問います。
多数決でthe experience to lose something important(父の死)が多数だったので、今回は全員統一で、the experience to lose something importantがa factor in his successであるという内容でwritingを行うと、Goalを提示します。
なお、実際に本文では父の死が大きな影響を与えたと記述があり、自由選択のように見せて、教科書内容理解の発問の要素も大きいです。多くの生徒が教科書内容を理解できていると感心しました。次点ではtireless effortが多かったです。
④音読
Section1のうち、the experience to lose something importantについて述べられている箇所(全体の1/4程度)を以下の要領で音読します。
①Chorus reading
②Individual practice ×2
③Overlapping ×2
④穴あき本文を用いたoverlapping
⑤穴あき本文を用いたBlank reading
⑥overlappingかshadowingを生徒が選択
⑦Sight Translation
⑧Overlappingかshadowingを生徒が選択
⑤リテリングに挑戦
ここまでインプットを行い、何も見ずにリテリングに挑戦しますが、生徒には3点、注意点を伝えました。
・インタビューをライティングにするため、主語や時制の言い換えが必要。
・流れに応じて適切なディスコースマーカーを使うこと。
・本文ではthe experience to lose something important(父の死)が影響
があったと述べられているが、「どのように」天野氏に影響したのかは述
べられていない。自分で想像して補うこと。
以下、生徒のリテリング例です。
本文内容のRetellについては、様々な言い換えが用いられており、生徒のボキャブラリーに驚かされました。今回ターゲット文法ではない助動詞+現在完了も使いこなせている生徒が多かったのが印象的でした。また、生徒が考えた「父の死の影響」も、様々なアイデアが出てきており、興味深かったです。
先述の通り、Section1 本文では父の死が「どのように」天野氏に影響したかは述べられていません。この内容はSection2で語られるため、次の時間の最初に生徒のWritingを共有し、予想したのち本文読解を行います。
⑥今回の活動の成功点と改善点
今回の活動のよかった点は、リテリングと生徒が自身の発想で書き足す内容のバランスがよかった点です。機械的すぎず、自由すぎずなリテリングで、語彙や教科書内容のインプットができたように感じます。
改善点は多々あります。
◯音読する箇所の選択を、クラスで統一せず個々に選ばせることもできる?
今回はWritingの内容を教科書の4つのキーワードの中から1つを選び、クラスで統一しました。生徒がライティングをする意欲を高めるならば、自由選択させることも考えられますが、以下のような理由で却下しました。
①個人で音読練習をするにはタブレットなどが整っていない。
②全文音読すると時間がかかりすぎる。
③本文で「父の死は影響があった」と述べられているため、自由さよりも
本文内容に則るべきだと感じた。
◯大学入試とのつながりを伝えられなかった
実はこの活動を思いついた裏側には、香川大学の個別試験の英作文の存在があります。香川大学の自由英作文は「自分の人生における経験や学びを説明せよ」という、「自分自身の抽象的な事柄について具体例を述べながら書く」という題材が多いように感じます。勤務校では志望している生徒も多いため、今回のリテリングをうまく大学入試と繋げたかったのですが…時間がなく、焦って口頭で伝えることすら忘れてしましました。次の時間に実際の入試問題とともに補足説明します。本来ならば実際に入試問題を解いてもらいたいところですが、それはまた時間のある時に。
◯スペルへの意識が薄れている?
先述の生徒例4は、文章の内容は非常に良いものの、スペルミスが目立ちました。音読練習ばかりしたため、新出語句などのスペルがインプットできていなかったと考えられます。ペーパーテストも活かしながら、補っていきたいと思います。
3年生の指導となると、大学入試を見据えた指導も大切になってきます。リテリングでインプットした語彙や表現、文章構造が実際に和文英訳・自由英作でも活用できるよう、工夫をしていきたいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?