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第3章 放射線治療医の良いところと良くないところ 『中堅放射線治療医が見てきた医局と資格 (仮)』の草案

過去の内容はこちらのマガジンに保管しています。

本日は放射線治療医のメリットとデメリット。

本文はここから。


 そして、放射線治療医の主な仕事については、技術的な到達が比較的早いこともメリットです。
 放射線治療のうち、小線源療法という、放射線が出る小さな金属を病巣近くに挿入して行う治療があります。この小線源療法では、線源を挿入するための手技が必要であり、この手技の習得には時間を要します。
 一方でそれ以外の放射線治療は、技術的にはそんなに難しいものではありません。放射線治療に必要な特有のスキルは治療計画です。治療計画自体はコンピューターの使い方がわかれば可能です。全くの初心者でも1-2週間あれば十分習得できます。
 さらに、治療計画はあくまでも治療のシミュレーションだということも技術向上の役に立ちます。シミュレーションなので、放射線を当てる範囲や、その量を自分で考えて主体的に計画を作ることが可能です。作成した治療計画を、後で上級医に見せて指導を受け、修正する時間があります。「こんな感じで治療をやってみよう」という方針をまず自分の力で形にできるので、成長は必然的に速くなります。手術では「こんな感じに切ってみました」とはできませんから、放射線治療の計画はあくまでシミュレーションであることが、若い先生の経験の蓄積には一役買っているのではないでしょうか。

 最後のメリットは時間的な余裕があることです。ただし、それは所属する施設によります。私が3年目に所属していた施設では、週2回ある科のカンファレンスが夜10時過ぎに始まっていました。また大学で働いていたころは、夜9時に終わると、今日は早く終わったから飲みに行くか!という生活でした。
 その一方で、私がいま所属しているような、年の新規患者数が300人未満の施設では、日々の業務は、定時に始まり定時に終わります。入院患者も担当しないため、勤務時間外の呼び出しもありません。
 そして、放射線治療の実施日は土日祝日を除く平日のみです。したがって、ゴールデンウィークや年末年始を除いて、カレンダー通りに休みがあります。日当直を課せられていない施設も多くあります。
 このように、勤務先によってはオンオフのはっきりした、自分の時間を確保しやすい働き方も選べることが放射線治療科医のメリットです。


 では反対に、放射線治療医のデメリットはどんなことがあるのでしょうか。私が考えるデメリットは次の4つです。それは、潰しが効かないこと、就職先が限られること、開業は困難であること、他の科に比べて収入が高くないことです。
 ひとつずつ考えてみますね。
  

(1800字)

累計文字数
はじめに 800
医局と臨床、研究 1600
医局と教育 1200
医局と人事 2400
医局の構成員 800
医局に入る研修医の割合 700
医局のメリット 1800
医局のデメリット、人事 900
医局のデメリット、人間関係など 1300
医局じゃなければ 1500
医局と私 1900
医局のまとめ 200 (医局関連で14300字)
専門医とは 1500
専門医を目指す研修医は90% 400
専門医のメリットとデメリット 1100
専門医をみんな持っている 1600
専門医のまとめ、学位へのつなぎ 400
学位とる研修医は30% 600
学位のメリット 1000
学位のデメリット 1400
学位と私 1400
論文の意義 2300 (専門医から論文までで11700字)
放射線治療医とは 700
放射線治療医のメリット①  1800
放射線治療医のメリットのつづき、デメリット 1000

合計 30300

ついに3万時を超えました。
一応3万字程度あればKindle本出版の目安を超えていると言えます。
次回は放射線治療医のデメリットを解説します。

読んでいただきありがとうございました。

髙草木



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