![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/147797466/rectangle_large_type_2_c27dfb1192ee12f5b472afa5c944800e.jpeg?width=1200)
なぜ放射線治療医になった?
フォローさせていただいているパールさんから、ある記事のコメント欄でなぜ放射線治療医になったか、ご質問を頂きました。
最近本も読めてないし、そのネタならインプットなしで書ける!ということで早速考えてみました。
少し長くなったので目次をつけておきますね。
放射線科って?
放射線科ってご存知ですか?
内科や外科などの有名な診療科に比べるとマイナーですよね。
医者の世界、とくに医学生や研修医界隈ではマイナー科という言葉があります。
その名のとおり内科外科といった大きな科に比べて規模が小さい科です。
定義はありませんが、『レビューブックマイナー』という国家試験向けの教科書があります。
私も使っていました。
懐かしい。
本の説明には
眼科,耳鼻咽喉科,整形外科,精神科,皮膚科,泌尿器科,放射線科の7科目を収録!
と書いてあります。
ありましたね、放射線科!
しかも一番最後だ笑
さて、そんなマイナー科の放射線科。
どんなイメージですか?
CTなどの画像を専門的に診断する医者。
ここまででも120点差し上げたいです。
放射線科は大きく、診断部門と治療部門にわかれます。
前者がCTなどの画像の専門医。
後者が放射線治療を専門としています。
日本放射線科専門医会・医会のページによると
現在、放射線診断専門医は約5,600名余り,放射線治療専門医約1,200名余り
なんだそうです。
治療医は診断医の5分の1くらいしか いません。
つまり、マイナー科のなかでも 治療医はさらにマイナーな存在です。
そんな放射線治療の医者は何をしているか?
簡単にいえば、がんを放射線で治すことを生業にしています。
ふぅ。やっと、自分の診療科まで辿り着いた笑
前置きが長い!
ではなぜ私は放射線治療医を選んだのでしょうか?
医者になろうと思ったとき、放射線治療医なんて全く候補にありませんでした。
内科かなー?くらいしか。
そもそも放射線科なんて知りませんでしたしね。
契機は5年生。
5年生になるとポリクリという病院実習が始まります。
1-2週間くらいずつかけて、病院中の各診療科を回りながら勉強します。
5年生で放射線科を回ったときに画像診断の勉強をしました。
異常なところをみつけるのは、クイズみたいで割と好きでした。
私の出身大学は宮崎大学ですが、当時の宮崎大学ではポリクリの最終日には、診療科の教授が出てきて講義が行われることが多かったように記憶しています。
放射線科実習の最終日、教授が肺のレントゲン写真を私たち学生に見せて、「どうだ?わからないだろう?」みたいな雰囲気を醸し出していました。
ですが私は偶然異常が発見できちゃったんですよね。
確か肋骨の一部が写ってない画像だったと思います。今思い返すと たぶん骨の転移で、骨が溶けちゃってたんでしょうね。
それを指摘したら、教授が驚いた様子で よくわかったな!と褒めてくれました。
単純なもので、それから 画像診断って面白いかも と思うようになりました。
ただ、放射線の診断医は患者さんと直接接する機会は少ないんですよね。
医者になるなら患者さんの治療ができたほうが面白そうだなーと思っていました。
しかし、当時は宮崎県内には放射線治療専門医が全部でたったの3人しかいませんでした。ですので、放射線治療についてはあまり学ぶ機会は得られず、なんとなく気になるけどなぁ、と思いながら大学を卒業して研修医になりました。
研修医時代に放射線治療医になることを決めた
私は群馬県出身なので、研修医は群馬県内の病院でやりました。
放射線治療にぼんやりとした興味を持っていたので、放射線治療もやっている研修病院を選びました。
群馬大学の放射線治療科は、全国でもたぶん最大手の医局です。
放射線治療がとても盛んに行われています。
(ちなみに私は今も群馬大学の医局員です)
当時の私の研修先にも、群馬大学から放射線治療医が派遣されてきていました。
興味があると言ったらそれはもう熱心に誘われること笑
でもその時に学んだ放射線治療は結構楽しかったのです。
見えない不思議な力でがんを治す。
そんな不思議なことがあるの?と思っていましたが、どうやらそんな不思議なことがあるみたいです。
その怪しげな力に魅力を感じてしまいました。
そして業務内容も私好みででした。
少しだけ仕事内容を説明しますね。
放射線治療を行うときには、まずCTを撮影します。
そのCTの写真をよくみて、がんがある部分はもちろん、病気が広がっていそうな部分を含めてCT上に放射線を当てたい範囲を描いていきます。
同時に、放射線をあてたくない正常な臓器の輪郭も 同じCTの上に描いていきます。
あぁ説明しにくい。
なんかいい資料ないかなーと探していたら、昔私が講義で使った写真を発見しましたよ!
こんな感じでCTに絵を描いていくんです。
![](https://assets.st-note.com/img/1722064006887-unSVxvuYLR.png?width=1200)
この絵をもとに、放射線を当てる方向とか量とかを決めていきます。
できあがった放射線治療の設計図は、こんな感じ。
![](https://assets.st-note.com/img/1721371857304-Wf5Dzx5m5d.png?width=1200)
これは等高線みたいなもので、赤いところが放射線がたくさん当たるところ、青いほうに従って放射線の量が下がっていきます。
あぁー脱線しそう。
動機に戻りますね。
学生のときに画像診断に興味を持っていました。
放射線治療での、画像をよく見て、病気の範囲を推定していく作業は結構好きでした。
さらに、放射線治療医は患者さんの診療に直接あたります。
ですから、学生のときに私が考えていた 放射線の画像って面白そう ということと、医者やるなら患者さんの治療がしたいたいなー というぼんやりとした希望を両方とも満たすのが、放射線治療医だと思ったのです。
なので、私は放射線治療医になりました。
そして今
医者として16年目、放射線治療医としては14年目になりました。
改めて振り返ってみると、結構がんばってきたなぁと思います。
でもこの仕事は好きなので、あのときの選択は間違いじゃなさそうです。
おわりに
昔のことを思い出していたら、なんだか少しだけ しんみりした気分になりました。
不思議。
記事のネタを頂戴したパールさんに感謝申し上げます!
折しも ぴったりなコンテストも開催されているみたいで。
せっかくなので参加させていただきます。
お読み頂きありがとうございました。
髙草木
![](https://assets.st-note.com/img/1721372982513-w7sza3liU8.png?width=1200)