vol.3 「場所取り」を実行に移す―キャリアの大三角形と社内自営業者の視点
「場所取り」という視点を手に入れた私が次に考えたのは、それを具体的にどう実践していくかでした。
その答えとなるのが、「キャリアの大三角形」という考え方です。この概念は藤原和博さんの『どう生きる?ーー人生戦略としての「場所取り」の教科書』に登場するもので、20代、30代、40代で異なる軸を築き、それを掛け合わせて希少性を高めるというキャリア設計のフレームワークです。
私は現在30代後半ですが、この考え方をもとに、自分のスキルや経験を棚卸し、次に進むべき道について試行錯誤してきました。また、「社内自営業者」という視点を取り入れることで、会社に依存しないキャリアの構築を意識し始めました。
気づきのきっかけ
1歩目(営業スキル: 0→1の関係を築く強み)
私は10年以上、営業職に携わる中で、特に「傾聴」のスキルを意識してきました。クライアントのニーズを引き出し、課題に応じた解決策を提案するためにどういった投げかけをすればよいのか?、押し売りではなく、ありがとうと言ってもらえるような提案をするために実践を通じて傾聴のスキルを身に着けてきました。
また、さまざまなクライアントを担当していくなかで、よりよく観察し、距離感をつかむことで0→1の関係を築く力を身につけました。これにより、対人適応能力も向上し、状況に応じて柔軟に相手の立場や気持ちに寄り添うスキルが自分の強みとなりました。
2歩目(チームリーダーとしての経験)
営業経験を基盤にしながら、次のステップとしてチームリーダーを経験することとなりました。チーム運営やメンバー育成を通じて、「組織の成果はメンバー全員の成長によって生まれる」という学びを得ました。
しかし、この期間は「会社の指示を忠実に遂行する、使い勝手の良い社員」としての側面が強かったと自己評価しています。この気づきが、さらに主体的なキャリア設計への意欲を高めるきっかけとなりました。
3歩目(キャリアコンサルタント資格の取得)
40代を目前にして、私が目指したのは「ひとつの会社に依存しないキャリアの形成」でした。そこで私はキャリアコンサルタント資格の取得に挑戦することに。
話を聴くことが好きで、相手のモヤモヤが晴れる瞬間に喜びを感じるという自分の特性が、この挑戦を後押ししました。営業で培った傾聴スキルを活かしながら、新たな分野に挑戦することで、スキルの幅を広げるとともに「どこに行っても通用する自分」を目指す第一歩となりました。
社内自営業者の視点
「社内自営業者」として働くという考え方は、私にキャリアの見方を大きく変えるきっかけを与えました。会社を単なる雇用の場として見るのではなく、「自分を磨くためのビジネススクール」として活用する姿勢を持つことで、日々の業務への向き合い方が大きく変わりました。
たとえば、チームリーダーとしての役割も、組織運営やリーダーシップを学ぶ場と捉えるようになり、それがさらなる成長へとつながっています。
また、社内での経験を活かしつつ、「一つの会社に頼らない」という意識を持つことで、視野が広がり、キャリアに対する自信と自由が得られるようになりました。
行動の最初の一歩
社内でのポジションアップへの準備
最近、所長の補佐役というポジションを打診されました。この機会を「新しい役職」以上の意味で捉え、自分の希少性を高める挑戦として活用しようとしています。営業やリーダー経験を基盤に、新しい視点で自分のスキルを試し、さらに磨いていきたいと考えています。
副業の1on1コーチング開始
また、キャリアコンサルタントとしての副業活動をスタートしました。社外での1on1コーチングを通じて、自分のスキルが他者に役立つ場面を実感しています。これは、自分の能力を社会で試す機会であると同時に、「会社外での自分」を育てる重要なステップだと感じています。
問いかけ
あなたのキャリアの三角形は、どのような形を描いていますか?
20代、30代、40代と、それぞれの軸をどう築き、掛け合わせていくのか…ぜひ振り返ってみてください。次回は、この三角形をさらに広げ、未来の可能性を最大化する方法について考えていきます。
つづきはこちら ≫ vol.4 キャリアの再定義と未来への足跡