カンヌ映画祭でカメラドールを受賞した『PLAN 75』は異色の光を放つ作品


カンヌ映画祭でカメラドールを受賞した『PLAN 75』photo: Kazuko Wakayama

『PLAN 75』
 
カンヌ国際映画祭でカメラドールを受賞

 
第75回カンヌ国際映画祭ある視点部門で上映されて、カメラドールを受賞。日本を代表するベテラン名女優の倍賞千恵子が主演し深みのある作品に仕上がった。75歳以上になれば誰でも死を選べるという近未来社会の日本を描く早川千絵監督の力作。

世界の注目度は高かった。75歳になれば楽に死を迎えられる。この死生観は高齢化社会を迎えた日本で孤独な老後を送る人々にとって魅力的に見えるかもしれない。倍賞千恵子演じる主人公もそう考えた一人だった。しかし、人に迷惑をかけてないでひっそりと死んでいく、という日本人的美意識は現実の中で次々に壊されていく。少ない台詞の中で淡々と描かれていく近未来的なリアリティ。控えめな存在の作品だったが、カンヌ映画祭の中で光っていたことは確かだ。
 
今井孝子
Takako Imai
Photo by Kazuko Wakayama
 

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