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おばあちゃんが褒めてくれるから

わたしが子どもだったとき、隣はおばあちゃんの
家でした。おじいちゃんもいましたが、
❛おばあちゃんち❜ と呼んでいました。
あるあるですね!


わたしが赤ちゃんだったころ、母は仕事をしてい
て、日昼は、おばあちゃんが見てくれたそうです。
とってもよく眠るいいこだったそうです。


「たかこそうそうはいいこだ」


いつもおばあちゃんは、わたしのことを褒めて
くれたそうです。


母が言っていました。


「だって、夜は起きているのですもの」



おばあちゃんちは、お店屋さんでした。
ノートに鉛筆、
ハンカチ、昆虫採集セット、
なんだか色々ありました。


大人になってから聞いた話では、母の兄、
わたしのおじさんが


「いっつもだれかがお茶のみに寄っていくん
 だから店をやればいい」


と言って色々、仕入れたことが始まりだったとか。


おばあちゃんの家は駅と街の真ん中にあって、
街に買い物に行くおばあちゃんたちが休憩地点
のように寄っていくお茶飲み場みたいな
存在の場所だったようです。


おばあちゃんちの思い出の光景のなかには、
いろいろなおばあちゃん、おじいちゃんの顔が
浮かびます。
みんなの名前も思いだされます。


だって、わたしはおばあちゃんちにいるのが
大好きだったのですもの。


お茶飲みに来ているおばあちゃんたちの横で
わたしは宿題をします。


だって、おばあちゃんたちが褒めてくれるんですもの。


冬休みの宿題の習字の稽古もします。


だって、おばあちゃんたちが褒めてくれるんですもの。


みんなの肩をたたきます。


だって、おばあちゃんたちが褒めてくれるんですもの。



わたしのおばあちゃんではなくて、お茶飲みに
来ているおばあちゃんたちがこぞって褒めて
くれるのです。



わたしのおばあちゃんは、にこにこ笑っていまし
たっけ。



勉強が特別できたわけでも、
習字が特別、上手だったわけでも、
肩たたきが特別うまかったわけでも、

なんでもなかったわたしをおばあちゃんたちは、
いっつも褒めてくれました。


「かわいい、かわいい」


「いいこだ、いいこだ」


「えらい、えらい」


「じょうずだ、じょうずだ」



わたしが中学3年生のときにおばあちゃんは、
天国に逝きました。
わたしは最期まで一緒にいることができ
ました。


おばあちゃんが亡くなって、お茶飲みに
来なくなったおばあちゃんの一番仲良しの
おばあちゃんの家にわたしは、お茶飲みに
行きました。


おばあちゃんは、やっぱり褒めてくれました。


「たかこそうそうは、いいこだ、いいこだ」


褒められたくて行ったのでは、ありません。


自分のおばあちゃんのように一緒に過ごし、
かわいがってもらったそのおばあちゃんに
元気でいて欲しかったのです。


そのおばあちゃんのことは、屋号で


『たかよしさんのおばあちゃん』


と呼んでいました。



たかこよしよし。。。



だったことに今、気づきました。。。

















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