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おじいちゃん、これをぬか喜びって言うんだね。。

雪の便りが聞かれる頃になると思いだすおじいちゃんとの思い出があります。


6歳頃だったのではないかなあ・・・と思うのですが、当時アノラックと呼んでいた冬のコートを着たわたしと母の手編みの帽子をかぶったおじいちゃん。
アノラックの色はペパーミントグリーンでした。
その頃は赤やピンクが主流だったように思いますので、選んで買ってきた母は、おしゃれさんだったな~と思います。
ああ、わたしも母の手編みの耳もあごもすっぽり隠れる帽子をかぶっていましたっけ。


ある日、おじいちゃんに連れられて街の商店街に出かけました。
今、わたしがその距離を歩いてもすたすた歩いて片道30分はかかると思いますので当時はどれくらいかかったのでしょうね。


おじいちゃんの用事を足した後、商店街の雁木を歩きます。
雁木というのは、雪国で軒から庇を長く出し、雪を避けて歩ける通路です。
これは本当に助かります。


昭和の活気のある商店街でした。
ちいさな街ですが、軒並みお店がならんでいましたっけ。


口数の少ないおじいちゃんと手を繋いで歩く商店街。
おじいちゃんと商店街を歩いたのは、わたしの記憶の中ではあの一日だけなのです。
母は兄弟の一番末っ子で一番上のお兄さんとは20歳離れていましたから、おじいちゃんとのお別れは早くわたしが小学3年生のときだったのですよね。


『よろずや』という名前だったのかそう呼んでいたおもちゃやさんの前に来た時です。
ショーウインドーに飾ってあるリカちゃん人形とドールハウスをわたしが横目で見つめていたのかなあ、
おじいちゃんが立ち止まりました。
夢の様なキラキラの世界が広がっています。


そのとき、おじいちゃんが静かにこう言いました。


「このお家持ってるか?」


え~~!!買ってくれるの~!!


「持ってないよ!」


おじいちゃんは、お店の入り口をガラガラ~っと開けて入っていきました。
お店の人と何やら話をしています。


リカちゃんハウスで遊ぶ自分の姿を想像し、うきうきがとまりません。
今日こんな日に突然、幸せが訪れる、ココロの中はうさぎが3羽ぴょんぴょん飛び跳ねています。
クラッカーがパンパンなっています。
盆と正月が来たとはまさにこのことでしょう!

おじいちゃんについてきて良かった〜!


お店の人と話し込んでいたおじいちゃんが入口まで戻ってきて言いました。


「このお人形は持ってるか?」


ああ、りかちゃん人形も買ってくれるんだー、
嬉しすぎる!


「持ってないよ」

おじいちゃんは言いました。


「じゃあ、このお家はいらないな」


え〜〜〜〜〜!?


言葉を失ったわたしは、「おじいちゃん、どうして」と言うことも出来ず、これまた母の手編みの手袋をしたおじいちゃんと孫として、手を繋ぎ、とぼとぼと帰ったのでした。


おじいちゃんは、リカちゃん人形ではなく、ドールハウスが気に入ったのでしょうか…

それとも…

これはもはや永遠の謎です。。



ところがです!


後日、家に帰るとなんとドールハウスが2軒、なんと2軒ですよ!
それから、リカちゃんといずみちゃんが家に来ていたのです!


も〜、おじいちゃんたら!と思ったら…


違いました〜

近所のお姉さんのお家のお母さんが「もううちは使わなくなったから、良かったらどうぞ!」と持って来てくださったのだそうです。


わたしは、もうぴょんぴょん小躍りです!
うさぎのダンスです!
クラッカー鳴らしまくりです!


その時、母にこの間のおじいちゃんとの出来事を初めて話しました。
「おじいちゃんもリカちゃんのお家、かわいいとおもったのかね〜」
母は、笑っていましたっけ。


数少ない思い出の中にだいぶインパクトを残してくれたおじいちゃんにやっぱり感謝です。


人生初のぬか喜びだったなあ。。。





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