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Smell 〜記憶からのメッセージ〜
2024/3/17(日)、東京中目黒のプレイバック・シアター ラボのオフィスで、ワークショップ「Smell 〜記憶からのメッセージ〜」を開催しました。
いつも羽地朝和さんが「ワークショップには、予想もしなかった意外な人が来てくれる」と言うけれど、まさにそんな方々が来てくださってとても嬉しい時間となりました。
今回のワークショップのテーマはSmell、匂いを感じることです。嗅覚はダイレクトに記憶に結びついていると聞いたことがありますが、そんな匂いを手掛かりにして、思い出したエピソードやイメージしたことを演劇的手法を用いて分かち合う時間をつくりました。
参加者のみなさんに嗅いでいただく謎の匂いの水は、ファシリテーターのゆきのさんとわたしが事前に自宅で作るのですが、これがなかなか難しい。
最初、ガムの匂いはどうかな?子供時代の思い出と結びつくんじゃないかな?と思ったのですが、はっきり特徴のある匂いはなんの匂いかすぐにわかるため、それそのものイメージしか思い浮かばず、その人自身に触れるような豊かな記憶やイメージは逆に引き出されにくいことが、何度も試行錯誤する中で見えてきました。
数種類をブレンドしたエッセンシャルオイルもいいかな?とも思ったのですが、精製された美しい香りは日常の暮らしの中にはないので、もう少し雑多でもう少し日常的にふれる匂いの方が記憶が思い出しやすそうです。
そこで「なんの匂いかわからないけど、どこかで嗅いだことがある気がする」と思ってもらえるような、微妙な匂い(かつ口に入れても安全なもの)を探して、何度も試作してみました。
そうしてなんとか出来上がった謎の匂いの水を、「どうかな〜?みんな何かすぐにわかっちゃうかな〜?」とちょっと不安になりながら持って行きました。
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ワークショップで実際にその謎の匂いをみなさんに嗅いでいただいたら、「えー!これなに〜?」とみなさん夢中になって面白がってくれて、わたしもホクホクうれしくなりました。
ある人は「これはパンに塗って食べたい感じ。ブルーチーズとワインを思い出す。」と言い、ある人は「うわっ臭い!これは足の臭いでしょ」と言う。「味噌とマーマレード」と言うイメージが浮かんだと語ってくれた人もいました。
同じ匂いなのに、一人一人の感じ方や発想がこんなにも違うのかとびっくりしました。でも「発酵のにおい」という点ではみんな共通していたことも印象的でした。
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コ・ファシリテーターのゆきのさんが用意した謎の匂いでは、その匂いから思い出した体験を参加者に語っていただいて、一人の方の体験を短い物語にしてみんなで即興で劇にしました。
わたしはその劇を観客として観ていました。劇の内容は家庭での何気ない日常の場面でしたがとても心に響くものがあって、劇が終わる頃には思わず涙があふれていました。
劇には不思議な力があるなと思います。演技の上手下手には全く関係なく、誰かの体験がストーリーとして大切に表現されると、そこにありありと伝わってくるものがある。そんなことを改めて感じたひとときでした。