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写真展で印象に残ったエピソードNo.1

若い女性が作品を熱心に見ていた。

年齢は30代くらい...


展示は、モノクロの笑顔写真と過去の困難を超えたストーリー、50人分。

ストーリーは1人300字。

サラリと読みやすい文字数だけど、50人分となると読むにはそれなりの時間がかかる。

にも関わらず、じっくりと読んでくださっていた。

その女性が最後の1人を読み終えた頃、私は声をかけた。

私『ご来場ありがとうございます。
丁寧に読んでくださっていて...いかがでしたか』

  

ハッとした表情で私を見て

『すごい、よかったです...』と女性。

少し話しをしていると、

突然抑えていた感情がこぼれ落ちたように、泣き出された。

まるでコップの水が溢れたように。


聴くところ、

有給をとり一人旅をしていて、福岡市美術館へはふらりと立ち寄ったのだそう。

『私は1人なんです...仕事は頑張ってはいるけれど、自分に何ができるのだろうって...』


他人だからこそ言えることもある。

背中にそっと手をあてて聴きながら、今の想いをそのまま書いてみませんか、とすすめた。


会場には、

自由にコメントを書けるようメッセージボードを設置していた。

初日朝のメッセージボード。この時は真っ白だった。
福岡市美術館の展示の様子


最初こそ戸惑っておられたけれど、すぐに書き始めた女性。

書き終わると自分でボードに貼り、少し笑顔になって帰っていかれた。

結局名前も聞かなかった。
でも、元気でいらっしゃるといいな…と、今も時々思い出している。

写真は、彼女が書いた実際のメッセージです。

力強いメッセージ
最終日。手書きのメッセージで埋め尽くされたボード

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