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「おとうは自分好き?」

そう娘から尋ねられてびっくりした。何と答えるべきか。そもそも、何故、そんなことを尋ねてきたのだろうか?幼稚園で、先生から、何か教わったのだろうか。

「おとうはね、自分のこと好きやけど、そんなに好きじゃない」

僕はそう答えた。すると、娘は「なんで?」と詰めてきた。こわい。何故こわいのか。

こわい理由は3つある

1つめの理由は、言いたくないのに、言わなければいけないからだ。しかも娘にも理解できる簡単な言葉で表現しなくてはならない。めっちゃ、こわい。

娘は「好きやけど、そんなに好きじゃない」の「そんなに好きじゃない」理由を尋ねたのだろう。だから、僕は、自分が嫌いな理由を答えなければならない。

それは、わかりやすい言葉で自分のダメ出しをしろ、ということだ。こわいに決まっている。

2つ目の理由は、僕の提示する答えが、もしかしたら、娘にとって悪い影響を与えるかもしれないからだ。責任重大である。こわい。

娘には娘自身を好きでいて欲しいと思っている。自信を持ち、健やかに成長してほしいからだ。

しかし、今、僕は自分へのダメ出しという、ネガティブなことを言わなければいけない状況に追い込まれている。

僕は、基本的に、ネガティブなことは言わずに生きてきた。それは、自分に悪影響だし、周りにも悪影響だと思ってるからだ。

ここで、僕がネガティブなことを言って、娘がネガティブ思考になってしまったら大変だ。ネガティブ思考の娘に、父親として、人生の先輩として、僕がアドバイス出来ることは、ほとんどなくなってしまう。こわい。

3つ目の理由は、テキトーに言えないからだ。

「なんで、自分がそんなに好きじゃないんですか?」

「なんとなくです」

普通、子どもは「なんとなく嫌いなんだ」という抽象的な理由を受け入れてしまう。なんとなく自分が嫌いって、こわい。

なんとかく嫌いって、ただ言語化を避けているだけだ。娘が自分の嫌いな部分を言語化出来ない人間になってしまったら嫌だ。

例えば、もし、忘れ物をすることが嫌だなーと思った娘が「自分の忘れ物をするところが嫌い」と言語化出来なかったら、「なんとなく自分が嫌いだ」と認識してしまい、自分を好きだと思えなくなってしまうかもしれない。それは、いやだ。

子どもや家族など、近い仲間には、正直でありたい

「やっぱり好き!おとう自分が大好き!」嘘をつくことは、出来たかもしれない。けれども、それはしたくなかった。だから、僕は、必死に考え、言葉にした。

「おとうは、なりたい自分になれていないところがあるから、あんまり好きじゃないね。なりたい自分になれるように頑張りようよ。でも、おとうは、基本的には、自分が好きばい」

娘は少し沈黙して「そうなん」と言った。娘は「私は自分、好きばい」と答えた。僕はホッとして「いいね!自分が好きなのは、とっても良いことばい!」と答えた。マジでホッとした。

以上です。いつも読んで頂いてありがとうございます。



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