【妄想シチュエーション#13】ハロウィン「凸凹夫婦&娘、ハロウィンへ行く」
※この記事は、知人のSHOWROOM(URL:https://www.showroom-live.com/118951049549)で毎週水曜日に開催されている企画「妄想シチュエーション」に応募したラジオドラマ作品です。
前作はこちら→【真夏の妄想シチュエーション#5】文化祭で気になるあの子と…胸キュン「身長差男女の学祭マジック」
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今日は、ダンナの会社のハロウィンイベント。
娘のアイも初めての参加ということで、前日から大はしゃぎだ。
(アイ)「お父さん、お母さん、似合ってるー?」
(お父さん)「ん?ああ、いいんじゃないか?」
アイが着ているのは、この日のために通販で買った、魔女宅(魔女の宅急便)キキの衣装。
うん、わが娘ながら上々である。
(アイ)「やったー!お母さんは何か着ないの?」
(お母さん)「えー、お母さんもう若くないからなあ…。」
とは言ったものの、どちらかと言えば最近は育児に仕事に大忙しで、興味はあるけど女子力がすっかり落ちちゃった…、というほうが正しいかもしれない。
すると、ダンナがヒョイと紙袋を私に差し出してきた。
(お父さん)「ウチの女性陣は年齢問わず、毎年みんな本気出してくるからすごいよ。
もしかしたら気になってるんじゃないかなと思って、こっそり買ってみたけど、せっかくだからやってみる?」
(お母さん)「へっ?…あっ、もしかしてアイと同じ…?」
中をのぞいてみると、アイとおそろいのキキ衣装が入っていた。
(お父さん)「ああ。親子おそろいなら、抵抗少ないかなと思って。
それに…、ハルカならきっと可愛いかな、って。」
昔からそうだ。こいつ、口数少ないくせに、時々こういうイケメンなことをしてくる。
(アイ)「えっ、お母さんとおそろいなの!?」
(お父さん)「ああ。お父さんが一緒に買っといたんだ。アイもお母さんの仮装、見たいよな?」
(アイ)「うん!お母さん、一緒に着よう!」
(お母さん)「わかった。じゃあ、一緒に着ようか!」
はあ…どんだけ幸せなんだ、わが家は。
そして、ダンナも含めた3人そろって仮装をし、イベント会場に到着。
180cmの高身長を活かしたダンナのダース・ベイダーコスプレは、さっそく子どもたちに大人気だ。
(アイ)「お父さん、すごい人気だねー!」
(お母さん)「ホントだねえ。いつものタクヤとぜんぜんイメージちがう。」
そうこうしていると、いろんな仮装をしたダンナの同僚らしき女性が、何人かこちらにやってきた。
(モブ女子社員1)「あはは、ヤマモトさん、すごいですねえ!似合ってますよ(笑)
もしかして…こちらのキキさんお2人は、奥さんと娘さん?」
どうやら、ダンナのダース・ベイダーは同僚からしても意外だったらしい。
(お父さん)「ああ、お疲れ様です。そうです、嫁のハルカと娘のアイです。」
ベイダーマスクからは想像もつかない、丁寧な口調でダンナが返事する。
(お母さん)「どうも初めまして。夫がいつもお世話になっております。」
(モブ女子社員2)「えー、奥さんも娘さんもすごく可愛いですね!!さすが、ヤマモトさんですねー!」
(モブ女子社員3)「ハルカさん、ヤマモトさんって、いつもハルカさんと娘さんのこと、自慢してくるんですよ!」
えっ、ダンナが私たちのこと自慢…?あの、普段は無口なダンナが…?
(お母さん)「えっ、そうなんですか?」
(モブ女子社員4)「そうなんですよ~。『可愛い嫁と娘が待ってるから』って、のろけながら帰るのが口癖なんです(笑)」
(お父さん)「ちょっ、それは…。」
あのねタクヤ、それはこっちのセリフ。もう、顔から火が出るほど恥ずかしいよ…。
その後は、ダンナの同僚女子の皆さんと仲良くさせてもらい、イベントを楽しんだ。
皆さんのおかげで、ひさびさに女子らしいことができたし、アイもみんなに可愛がってもらえてすごく嬉しそう。
そんな感じで、アイが「トリックオアトリート!」と言いながら、お姉さん方と向こうで遊んでいるとき、マスクを脱いだダンナが私のところへやってきた。
(お父さん)「どう、ハルカ、楽しめてる?」
(お母さん)「うん、おかげさまで皆さんとも仲良くなれた。タクヤ、今日は連れて来てくれてありがとね。」
(お父さん)「ああ。最近、ハルカが遊びに行ける時間とかも、なかなか作ってあげられてなかったから。」
(お母さん)「ふふっ、アンタって、昔からそういうイケメンなところあるよね。ホント、にくたらしい。」
(お父さん)「えっ、どういう意味だよ。」
(お母さん)「さっきも、職場で私たちのことを自慢してるって聞いて、恥ずかしくなっちゃった。」
(お父さん)「ん…まあ、事実だから。今日だって、キキすごく似合ってるし。」
こいつ…、そんな悪役の格好して、どんだけ気恥ずかしいこと言えば気が済むんだ。
でも…、今日、改めてよく分かったな。
あの学祭のときから、タクヤはずっと、こんな私のことを、1人の女として愛してくれているんだって。
母になっても、女子力落ちちゃっても、毎日のように「可愛い嫁」なんてこっぱずかしいこと言いながら。
(アイ)「お父さん、お母さん、いっしょにあそぼー!」
しみじみと感傷にひたっているところで、アイが私たちを呼ぶ。
(お父さん)「ん、いま行く。…行こうか、ハルカ。」
そう言って、タクヤは私の手を取った。
(お母さん)「うん。せっかくのハロウィン、まだまだ楽しまないとね。」
そうして、180cmのダース・ベイダーと、150cmのキキという、はたから見たらもはや異様なレベルのわれら凸凹夫婦は、愛する娘と初めてのハロウィンを楽しんだのでした…。
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