夜中に記事を見つけて眠気が

初公判の直前にだったと思う、電話取材を受けていたのでした。自分の発言はとても圧縮されていますが、記事で訴えたいことは理解しています。
すこし飛躍しますが、最近ぼくは、支援員の労働環境についてより関心が向くようになってきています。働くときに欠落してしまう何か、について。自分もうまく働けない経験をしてきた為、ですね。いや、その以前に、なかったこと、いないことにされている人ばかりなのだな…

https://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/tokai-news/CK2020010902000092.html

中日新聞 CHUNICHI Web
2020年1月9日 朝刊

凶行理由、丁寧に分析を 障害者支援NPO理事長

ゆったりとくつろぎながら施設利用者と交流できるスペースを紹介する久保田翠さん=浜松市中区のたけし文化センター連尺町で
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 「謝罪したところで被害者の命は戻ってこない。何が彼を突き動かしたのかを丁寧に分析し、同様の事件が起きるのを防ぐべきだ」。相模原障害者施設殺傷事件で、植松聖被告の初公判があった八日、浜松市内で障害者を支援するNPO法人「クリエイティブサポートレッツ」理事長の久保田翠さん(57)が冷静な口調で語った。

 重度知的障害のある長男壮(たけし)さん(23)のため、二〇〇〇年にNPOを設立。「障害者を隠さず街中に連れ出して交流してもらいたい」とアートを通して障害者の日常を発信し続けてきた。

 殺傷事件が起きた時は「やっぱり…」と感じたという。植松被告の差別的な主張を知り「彼だけの特殊な考え方ではない。障害者をいない者のように扱う現代社会が、閉ざされた空間の中で被告を追いつめたのではないか」と指摘する。

 一昨年十一月、浜松市中心部の繁華街に障害者福祉施設「たけし文化センター連尺町」をオープン。事件を受け、一般の来場者が利用できるゲストハウスをセンター内に設けた。「障害者なんていなくなればいい」と言い放った被告。久保田さんは障害者の開かれた「居場所」を作りたかった。

 ゲストハウスのある三階は、来場者用の二段ベッドがある部屋と障害者用の宿泊スペースを併設。台所や風呂、こたつがあり、ゆったりと自由な時間で交流ができる場もある。

 昨年十月から度々ゲストハウスに泊まり、壮さんと生活をともにしてきた大阪市のアーティスト高橋誠司さん(35)は「壮さんとコミュニケーションがとれて次第に何がしたいか分かってくる。自分と異なる価値観に触れて視野が広がる感じがした」と話す。

 被害者の名前を明らかにせず「甲A」などと呼んだ異例の法廷。久保田さんは「障害者一人一人の存在がないがしろにされている。本当にそれでいいのか、皆が考えていかなければならない」と憤る。

 自身、公判の行方を見守り、考え続けるつもりだ。 

(松島京太)