【リーダーシップ】パーソナリティとリーダーシップの見解を広げた最新論文!(Javalagi et al.,2024)
リーダーシップ発揮にどのようなパーソナリティが影響するのか、その関連性を大規模かつ多国籍でのデータをもとに明らかにした文献です。
どんな論文?
この論文は、リーダーシップの有効性に対する特性の影響を、クロスカルチュラルな視点から調査したものです。
多くの文献からスクリーニングを施し、最終的には204の5特性モデルと、19 のHEXACOモデルを利用した文献を対象にメタ分析を施しました。
著者らは、先日紹介したパーソナリティ×リーダーシップのメタ分析に関するJudgeらの論文で得られた見解を拡張したと述べています。
この論文のオリジナリティ①リーダー行動を介したモデル化
著者らは、リーダーシップにおけるビッグファイブ特性の影響を説明するために、リーダーの行動(配慮と構造づくり)がこれらの特性効果を媒介するという理論モデルを提案しています。
簡単に言えば、以下の図のように、5つの特性が、配慮(Consideration) 、構造づくり(Initiating structure)という2つのリーダー行動を介して、リーダーシップ発揮(Leader effectiveness)に影響を与える、という以下のモデルです。
結果をまとめると、以下のようになります。
外向性(Extraversion)と協調性(Agreeableness)は配慮行動を通じてリーダーシップの有効性を高め、
誠実性(Conscientiousness)と経験への開放性(Openness)は構造づくり行動を通じてリーダーシップの有効性を高める
集団主義文化では外向性と協調性がリーダーシップの有効性を高めるように調整する(個人主義文化の調整効果は見られず)
一方で、負の影響を与える要素も見られました。
誠実性 (Conscientiousness)は、リーダーシップ発揮において一般的には正の影響を持つが、リーダーの配慮行動に対しては負の影響を与える可能性があるようです。
誠実なリーダーは効率性やタスクの完遂を優先する傾向があり、これが時に人間関係やフォロワーの感情を軽視する結果となり得る、とのこと。
この論文のオリジナリティ②誠実さ・謙虚さという特性の影響
この論文では、ビッグファイブのどの要素よりも、Honesty-Humility(正直さー謙虚さ)という要素が、リーダーシップ発揮に影響を与えることが、回帰分析の結果明らかにされました。
ビッグファイブに、Honesty-Humilityを加えたHEXACOというパーソナリティ概念も最近よく使われますが、今回の分析の結果は、HEXACOを使用することがベターであるという論拠にもなりそうです。
感じたこと
Judgeらの示した分析を引き合いに出して、さらにビッグファイブに、Honesty-Humilityを加えたHEXACOというパーソナリティ概念も最近よく使われますが、今回の結果から、HEXACOを使用することがベターであると言えそうです。
(逆に、Honesty-Humilityを入れて分析しないと、片手落ちになる可能性もありそうです)
実務的な観点でも、パワハラだったり、昭和なオラオラマネージャーの限界だったりと、リーダーにおけるHonesty-Humility特性の重要性はますます高くなっているように思います。今後の研究においても、さらにこの特性が注目されていくのではないかと感じました。
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