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フィードバックの重要性なんて誰でもわかってる、でも適切にできてるとは限らない

先日、チームでアジャイルのワークショップを顧客向けに開催した際に、参加者が共有してくれたフィードバックについての話してくださったことが心に残りました。

フィードバックが重要であるというのは、これまでも充分理解していたつもりだけど、今回のワークショップで体感してようやく理解できた気がします。

私もアジャイル推進やっている身でフィードバックの重要性は重々承知しているつもりでいます。ですが、それがまだまだだったと思わされることが最近ありました。

フィードバックカルチャーってこういうこと

今月、入社したSlalomについての記事を書きました。まだ国内では名の知れていない会社であること、採用中でありながら日本語での情報があまりないことから、少しでもSlalomについて知ってもらうために書いたものです。

この記事については、社内で「書いたよ!」という社内向け告知はせず、「こういうの書いたんだけどマガジンに追加するにあたってルールある?」という質問をマガジンについてのスレッドで聞いたくらいで、ルール確認後に公開しました。つまり、あまり社内で宣伝してなかったんですね。

そんな中、公開して数日。Slalom Japanの創成期に日本マーケット・リードを務められたRyuta Hosakaさん(現在はシニア・ディレクター)からDMが来ました。

Ryutaさんと直接お話したのは帰りのエレベーターが一緒になった1回くらいですが、読んでくれたこと、記事をGreatと思ってくれてることを伝えてくれているのです。この6ワードでどれだけ私が嬉しい気持ちになったか想像してみてください。

これだけではありません。他にもDMでとても良いねと伝えてくれた人がいました。私が書いた記事を、LinkedInで拡散してくれた人も何人もいました。Cultural Ambassador というロールのディレクターから感謝を添えてカルチャー関連の仕事に興味があったら参加しないかとメッセージをもらいました。さらにその方は私がしていなかった社内向けの宣伝までしてくれ、チャット上でより多くのフィードバックをもらいました。

フィードバックの嵐に喜びながら、自分がどれほどのエンパワーメントを受けたかは言葉だけでは表せません。繰り返しますが、私は内部に宣伝はしていませんでした。それでも読んでくれて、反応が返ってくる、これがフィードバックのカルチャーなのかと、私も体感してようやくわかったのです。

自分はうまくできていると思っている

この記事で伝えたいのはSlalomのフィードバックカルチャーだけではありません。私にとっての大きな学びは、自分はできていると思っていても、できていないことがあるということです。冒頭のワークショップ参加者と同じことが自分にも起きていたわけです。

例えばnoteやQiitaに関して、私は前職から率先して記事を書き、周囲にもアウトプットをすることを推奨していました。この時のマインドは率先垂範であり、自分が書いているからこそ、それをやることの意義をよく理解しているし、推奨する人として説得力を持てるようにしていました。実際、その姿を見て書いてくれる同僚たちもいます。それに対して私はちゃんと読んでいるよというフィードバックとして「いいね」を必ずつけるようにしていました。これも確かにひとつのフィードバックの方法ですが、それ以外にも自分にできることはもっとあったと今回フィードバックを受けて気づかされたのです。

なぜそれに気づけなかったのかを考えると、2つの要因が考えられました。1つは私がフィードバックについて深く考えきれていなかったこと、もう1つはフィードバックの環境が整っていないことです。

フィードバックの体験を考えていない

フィードバックは1人で成立するものではなく与える側と受ける側がいる相互作用のあるプロセスです。その相互作用をどうポジティブに産むかを考えていくと、フィードバックとしてどういう体験がお互いにあると望ましいかを考えることに繋がります。すべてに対して細やかなリアクションをするのは難しいですし、実際に受け手としても「いいね」で充分なときももちろんあるでしょう。ただ、自分の書いた内容の何に対してどう思ったかまで返事があるとより嬉しいというのが本音です。良いと思って拡散してくれたら嬉しくて飛び跳ねます。多くの人は同じではないでしょうか。

フィードバックの環境が整っていない

私の記事に対するSlalomでのフィードバックの話を友人にすると「それはすごいね!」と驚かれます。これは、フィードバックが少ないか無いことが当たり前になっている環境が多いことのサインでもある気がします。実際、noteでとても良い記事を見かけてもコメントは少ないです。

これまで「いいね」で充分だと私が思っていたのも、それが自分がもらえる通常のフィードバックだったからということもあります。もちろん直接コメントをもらったりするケースもありますが、レアケースですし、自分がインフルエンサーでもない限りそれが当たり前な状態だと思ってしまっていました。受けていない、体感していないものは、自然にできるようにはならないのです。カルチャーとは文字で表現されるものではなく、人々の行動により体現されるものです。先ほど率先垂範と書きましたが、率先垂範をするリーダーの理解や行動のレベルで環境やカルチャーのレベルが決まることが多いということも忘れてはいけません。リーダーはより良い状態を模索し続け、手本になる必要がありつつも、自分はフィードバックの面でまだまだできる余地があったことに気付かされました。

フィードバックをカルチャーにするということ

フィードバックを重要だと理解し、それをカルチャーとして根付かせたいと思うのであれば、年に数回のフィードバックでは足りないことにもうお気づきかと思います。つまり、評価の時期や月1回の報告などに合わせたフィードバックしかないような環境は十分ではありません。フィードバックをし合う関係性にもよりますが、良かったり悪かったり、必要だと思ったときにすぐフィードバックを送りあえたりお願いできる関係でなくてはなりません。

1ヶ月以下の短いサイクルで行うスクラムや定期的な1on1もフィードバックカルチャーをサポートする良い仕組ではあります。ですが、よく陥りがちな誤りとして決まったサイクル単位でのフィードバックしかしない状態があります。それは仕組に則ってフィードバックをしているだけであり、今回の私がもらったような仕組の外に対してフィードバックが進むかと言うと難しいでしょう。そもそもスクラムもデイリーのフィードバックを行うためにデイリースクラムがありますし、デイリースクラムすらも待たずに日々の開発の中で細かなフィードバックを送り合えるほうがリードタイムの短縮にも繋がります。

悪い時だけフィードバックをするのもいい方法ではありません。受け手が良いところをあまり見てもらえず悪いところばかり見られている気になります(KPTをやってPしかでない状態なんて嫌ですよね)。仕事上、深く関わる相手とは日頃からフィードバックをしあえる関係性づくりが大切なのです。私は今回自分の中のフィードバックのレベルが、フィードバックを受けることでアップデートされました。周りが示してくれたから、自分も行動に移れることがカルチャーであることなんだと体感し、自分も実践していきたいと思います。カルチャーを作っていくのは大変だと思う方もいるかも知れません。でも6ワードやいいねのワンクリックで人を喜ばせることができることも忘れないでください。

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Takahiro Ito
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