東京駅

みんながカメラを向ける反対側

 今年はクリスマスにあわせて、週末に丸の内でディナーを予約した。別にクリスチャンではないけれど、世の中がウキウキしているとなんだかこちらも合わせたくなるのが人の常。僕ら夫婦は日本らしくない落ち着いた街並みが特徴の丸の内が大好きで、日比谷から東京駅までの長い道のりを何度も歩いたりする。

 そんな散歩コースの最果てにある東京駅も大好きなスポット。すでに有名観光地となっている東京駅だが、日本がほこる建築界の巨匠・辰野金吾による設計で、2012年に全面修復が完了したばかり。

 この辰野金吾という人物は非常な野心家で、生涯で日本銀行本店と東京駅、国会議事堂という重要な3つの施設建築を夢見ていたという。実際には日本銀行本店と東京駅を完成させ、国会議事堂建設を画策する中でこの世を去った。国会議事堂の建築をめぐっては凄まじい政治的問題が巻き起こっているのだが、この辺は話すと長いので割愛する。

 そんな東京駅を写真に収めようと、観光客や写真愛好家が駅正面をバッチリキープしてカメラのレンズを覗き込む。いつ訪れてもこの道には人だかりができている。でも、僕は東京駅を背に、皇居を見渡す方が好きなのである。みんなが注目をしないその先に、綺麗な空が広がっている。

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