裏側まで見通せる真っ白な建築
神奈川県の横須賀市、観音崎公園内に「横須賀美術館」という美術館がある。東京からどうやっていくのか忘れたけれど、電車とバスを乗り継いで少し遠いところにあった。それほど大きくない美術館で、疲れない程度に見て回るにはちょうどいいサイズ。家族連れも多い。
設計は山本理顕。個人的には日本と欧米を掛け合わせたような控えめな建築が好きなんだけれど、無機質ながらも嘘のない山本理顕の建築はとても好きである。一番の特徴なのかわからないが、美術館の屋上がとにかく広くて開放的で(上の写真)、そこへ続く螺旋階段では周りがガラス張りになっていて、裏側の構造が丸見えになっている(下の写真)。実際に見るともっと迫力がある。
普通の建物は、おうちも含めて、人間が生活する内側には壁や天井があって、外壁との間には空間がある。そこってあんまり意識しないけど、結構広い。建物の裏側というか内側というか。今僕はコンクリート打ちっ放しの(つまり内壁がない)家に住んでいるので、この内側がないんだけれど、そうすると通気性が悪くて湿気たり、問題もある。
普通はこの内側を見ることってあんまりない。裏表がないというか、裏も表も見せちゃうというか、建築のあり方から、なんだか人間味が見えるような気もするし、裏表なく見せてしまうのはとても強い証拠なんだろなと思う。伊東豊雄のせんだいメディアテークなんかは、裏側の柱が表に出ていたりする。これも面白い。いずれにせよ、横須賀美術館みたく、裏側までちゃんと綺麗な人間でありたいなと思うわけである。