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はじめて北国の空気に触れた夜

 僕は3年前、はじめて北海道を訪れた。妻が北海道出身ということもあり、ご両親にはじめて会うということですごく緊張していたはずなんだけれど、今となってはあの時の緊張感が思い出せない。唯一覚えてるのは、はじめましてで長居するのも気が引けるからと妻の実家に1泊、その前の1泊はなぜか札幌のホテルをとったことだ。

 新千歳空港から札幌方面の電車に乗り替えるとき、突然外気が押し寄せる。はじめて降り立つ北の大地の空気は驚くほど澄んでいた。季節は12月。雪はそこそこ積もり、気温も0度前後を彷徨っていた。でも、寒くはなかった。むしろ、気持ちよかった。

 ちょっぴり北国の洗礼も受けた。初日の夜慣れない雪に滑って携帯を落として電源が入らなくなったり、ちょっと道を外れると突然踏み固められていない雪があって膝下まで水浸しになったり(そもそもスラックスにスタンスミスなんか履いて行ったのが間違いなんだけど)。

 でも、はじめて食べた「SUAGE」のスープカレーが、そんなことを全て忘れるくらい美味しくて、そのあとに訪れた北海道大学のキャンパスがどでかくて、僕は北海道の虜になった。この写真が大学だなんて誰が信じるかしら。

 それからというもの、かれこれ理由をつけては年に2〜3回は北海道へ行くようになった。冬に訪れるたび、地下道ではなく地上を歩くくらいには北海道が好きだ。でもまだ函館からトマム、美瑛あたりまでのいわゆる左側にしか行ったことがなくて、反対側は未開拓。これでは北海道好きを名乗れないなと思いつつ、免許のない僕にとって北海道の遠方は遠い夢なのであった。


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