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“競合ブランド”という概念は企業が生み出した幻想かもしれない

 今年、ストライプインターナショナルがソフトバンクと合弁会社ストライプデパートメントを設立し、F2層(35~49歳の女性)に向けたECモール「ストライプデパートメント」をスタートしました。アパレル企業発のECモールに三越伊勢丹や三陽商会、レナウンなど、競合とは言えないまでも他アパレル企業が多く参加したことが話題となりました。

 こうした競合との協業とも呼べる事例は実は数年前から増えています。百貨店でいえばそごう・西武を傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスが阪急阪神百貨店を運営するエイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)と資本業務提携したり、出版社では日之出出版とマガジンハウスが販売に関する業務提携をしたり。

 普通に考えると、アパレル企業が他の競合企業と組むというのは考えづらい。でも、それってただの会社のエゴなんじゃないかと感じてしまうのです。例えば、セレクトショップのビームスとユナイテッドアローズはバッチリ競合します。でも、その両者が提携して、どちらでも使えるポイントカードがあったら便利ですよね。消費者目線で考えると、競合とか、どうでもいいはずなんです。どちらでも買い物をする人もいるし、そもそも「チャオパニック」(パル傘下)と「ローリーズファーム」(アダストリア傘下)が別の会社だと知っている消費者がどれくらいいるのでしょうか。

 競合調査が必要ないとは思いませんが、企業、ブランドが突き詰めるべきは自社ブランドの独自性です。他にはないアイテムだったり、世界観があれば、競合などないはずなのです。自信がないなら、ブランド自体を見つめ直すべきなのかもしれません。最近増えている特定のファンを多く持つD2C(Direct to Consumer)ブランドに話を聞くと、ほとんどが「市場が盛り上がるから、競合はどんどん増えてほしい」と話すのです。それぞれの事業規模はそこまで大きくないにしても、ニーズを感じて起業し、自社の強みを持っているからこそ、言えるのだなと。そんな考えが大手企業においても当たり前になれば、提携をはじめ、もっと面白いアイデアが生まれてくるのかもしれません。

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