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家と生活感についての覚書(物件探し備忘録 番外編)

相変わらず家探しは続いているのだけれど、実はこの一週間が引越し業界(?)的にはもっともホットな一週間だという。

というのも、3月末で引越しをする人たちが1月末くらいで一斉に退去の連絡を入れるため、物件サイトにはいい物件が次々と増える時期なのだそう。今がピークで、ここから物件数は減りつつも3月末までにいい物件は大体がなくなってしまう。

一方で、4月からの新生活に向けて家探しが始まるのも2月。家探しの予約を入れた人々が内見を始めるのが実にこの週末だというのだ。というわけで、物件の需給量にもっとも流動性が出るのが、まさにこの週なのである。

そんな中でめぼしい物件に出会えず、だらだらと物件を探し続けているわけだが、この時期に内見をしたいとか、もう少し考えたいと言うと、決まってこう言われる。「内見している間に決まってしまうかもしれない」「内見できるのが少し先なのでぜひ事前契約を」と。

もちろん人気物件にはたくさんの内見者が集まるわけで、基本的に契約は先着順だから、気に入った物件は少しでも早く契約してしまう方がいい。それはそうだ。しかし、内見せず契約をするって、正気か?これ、本当に理解ができない。

もちろん写真を見ればある程度の雰囲気はわかるし、スペックは大体サイトに書いてある。周辺環境は内見せずとも知ることはできる。だとしても、家に一度も入らずに契約を決め、莫大な初期費用を支払う。そして、(特にリモートが増えた昨今は)その家で生活の大半を過ごす。それって、運ゲーすぎないか? 1泊して帰るホテルとはわけが違う。ZOZOで試し買いする洋服とも桁が違う。会社だって、本社に一度も行かずに面接を終わらせることってないはずだ(コロナの影響とかは別として)。

だから、僕としては、いくら気に入っても、実際にその部屋に入れないのなら、諦めることにしている(実際にそれで埋まってしまった物件はたくあんある)。なぜかと言うと、一番大事なのってバイブスだと思うから。

バイブスと言うとちょっと雑なのだけど、つまりは空気感というか、波長というか、自分がそこで生活していくのに、その家の空気がしっくりくるか。それが一番知りたい。写真を見ても、スペックを知っても、それだけはわからないところこそが一番大事なのだ(足で情報を稼ぐ編集という職業柄なのか?)。

そもそも、定量情報で家を選べというのが、よくわからない。職場がある場合など、ある程度の距離に制約が出るのは当然としても、大手物件サイトって、最初からエリアを選んだり路線を選ばないと検索が始められなかったりする。個人的には、値段と広さとかはある程度重要だとしても、それよりももっと部屋の空気感から部屋を選びたい(最近では、直感的な検索タグを用意しているおしゃれな物件サイトも増えてきたので、とても楽しいのだけれど)。

あんまりこの話ばかりすると長く書くとただの愚痴になりそうなのでこの辺で話を戻そう。空気感で部屋を選ぶ、という話。空気感に近いかもしれないけれど、家のテイストって色々あるわけで、とにかく綺麗でスペックを求めるなら築浅とか新築のシステマチックなところがいいだろうし、味のある雰囲気が好きならビンテージマンションとか、モノトーンが好きなら床がホワイトになっているところだったり、無機質なコンクリ調だったり、無垢材を使ったナチュラルな部屋だったり。

まあ、実存する物件の9割方は“普通”の量産型の家なので、上記のような家に出会う方が珍しくて、だからこそリノベ物件ばかりを扱っているサイトとかがあるわけだけれど、僕としてはこの普通の物件がとにかく苦手。これまで、モノトーン系、レトロマンション、リノベ物件、新築のデザイナーズと東京だけでも8回くらい引越しをしてきただいぶ物好きな自分だが、なんというか、いくら内見しても、スペックが良くても、そこに生活感が感じられないというか、圧倒的なプレハブ感と圧迫感を感じて、いてもたってもいられなくなる。空気が死んでる感じ。

そもそも、住む上で一番大事だなと思うのが、家の雰囲気と、持ってる家具と、自分の生活感の3つがきちんと合かどうか。引っ越すたびに家具を買い換えることはないけれど、自分が好きな家具がその部屋に合うかはとても大事だと思う。

以前、いいものだけを集めれば、どんな家に住んでも合わないことはないと大先輩が言っていた。僕もある時から家具とかをちゃんと買うようになって、椅子もテーブルも家電も食器も本当に好きなものしか持たなくなったから、それらの空気感がちゃんとおうちに合わないと嫌なのだ。

いくらいい家具を集めても、部屋とちぐはぐになってしまったら嫌だし(めちゃくちゃ高級な家具を買って、高いデザイナーズマンションに住んでも、なんか変な感じになる時あるじゃん?)、そもそも持ってる家具が自分の生活に見合ってなかったら元も子もないけれど。

でも、普通はあんまりそこまで考えないのかもしれないし、こだわりすぎて拗らせているといえば、それにすぎないのかもしれない。背景としては引越ししすぎて、その過程で色々と失敗したというのもあるかもしれない(街を見ずに引っ越したらテンションが全然合わなかったり、買い換えた洗濯機が入らなくて引っ越す羽目になったり、リノベ物件で設備のトラブルが多発したり)。

ほんとうに吐き出すようにここまで書いてきたけれど、だけど、僕にとっては、家を変えるということはそれくらいに重要な判断なのだ。それくらいの覚悟で持って、家を探したいし、不動産屋さんの方も多分だいぶ面倒臭いと思うだろうけれど、そんな風に思われるならそんな不動産屋さんは選ばない。適当に何十万と払うほど馬鹿じゃない(むしろなぜみんな普通に払えるの?)。

というわけで、番外編だったけれど、僕の家探しはまだまだかかってしまいそうである。だんだんと家探しというかこのシステム自体に嫌気がさしてきた中間報告でした(終わり)。



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