#003 分岐点
突然の連絡、ごめんなさい。
この秋から旭川で暮らすことになりました。
なんとなく流れ着いた東京もいざ離れることになると寂しいものですね。
でも連れて来てくれてありがとう。
お元気で。
離婚した元妻からある日メールが届いた。
九州で生まれ育ち、高校卒業と同時に関西で就職し、僕と結婚して関東へ。そして、今のご主人と北海道に引っ越すという。
そんなことを考えても仕方のないことだけど、人ひとりの人生に少なからず影響を与えてしまったことをどう捉えればいいものか。鉄道のポイントを切り換えるように、安易なまでに僕は彼女の行先を変えてしまった。無論それは彼女自身の選択でもあるのだけれど。
過ぎ去った時間のすべてはおぼろげで、でもすべてが愛おしく感じられるのはお互いの人生がどんどん離れていったからなのかもしれない。
もしかすると、もう会うことはないのかもしれません。
あなたこそ、お元気で。そして、お幸せに。
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