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#488 映画じゃなくて、小説の方
#486の最後に、「北野晶夫気取りかよ」と書いた。それを読んだ友人から「あれって、どこのシーン?」とメールがあった。映画にはないよ。小説の方。そう、「エブリバデ、リッスン!」じゃない方。持ってる? 持ってない? じゃあ、古本を買って、ぜひ自分で確かめてちょうだい。
晶夫はジーパンの尻ポケットに突っこんでいたタオルで顔と胸の汗を拭った。高原の冷気に汗はたちまち引いていく。
リヤカーのカヴァーの下から英字新聞で包んだ分厚いビーフ・サンドを取出して平らげた。酸っぱい青リンゴをかじって喉の渇きを鎮める。
『汚れた英雄』第一巻の巻頭は、全四巻の中でもハイライトのひとつだと思う。リヤカーに縛り付けられていたのは、ヤマハYA-1と柳行李。それを自転車で引っ張り、第二回浅間火山レースの会場へ向かう様子が数ページに渡って描写されている。これがめちゃくちゃ格好いい。リンゴを食べる時、今でも皮つき&丸ごとなのは、完全に刷り込みと言えましょう。