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#424 fionna

昨日、意識して避けている「やばい」について書いたので、本日はその逆。しばしば口にしたり、書いたりする言葉に「ひょんな」がある。

原稿ではわりと便利で、「ひょんなことでそれを知り~」って書いておくと、説明が省けたり、煙に巻けたりする。もしも記事の中でこれを見つけた時は、面倒くさがってるか、ネタ元を明らかにしたくないか、単によく分かってないので誤魔化そうとしているかのどれかである。

「ひょ」が付く言葉は、どことなくユーモラスというか、芯を外したような響きがある。「飄々」「ひょこひょこ」「ひょろり」「ひょっとこ」「表六玉」「瓢箪」「ぬらりひょん」などなど。

ただし、「ひょんな」の語源は、「凶」の唐音読みを当てたという説がある。つまり、元々はちょっとネガティブ方向の表現だったようなのだけど、現代はポジティブ方向の意味で使うことが多いと思う。

「ひょんなことで唐橋ユミさんと知り合いになった」
これを原級とするなら、
「ひょんなきっかけで本上まなみさんと付き合うことになった」
が、そこから発展した比較級。
「ひょんなめぐり合わせで小西真奈美さんと知り合い、すぐさまお付き合いが始まったかと思えば、あれよあれよと言う間に結婚した」
が、もちろん最上級である。ひょんなの三段活用として覚えておきましょう。

今日、そんなひょんなことはなかったものの、明日はあるかもしれない。そう信じ、言い聞かせながら毎日を乗り切っています。最上級とは言いません。書棚に手を伸ばした時、偶然同じ本を取ろうとした中江有里さんの手に触れて「あ……」ってなる。それくらいのひょんでいいのだけど。

ちなみにタイトルの「fionna」がなにかといえば、400年ほど前の『日葡辞書』に載っている「ひょんな」のつづりだそうです。

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