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#053 反抗のチョコレート
「ん」と言って突き出された手には、モロゾフのチョコレートボックス。「たぶんおいしいと思う」と娘が言った。
あぁ、そうかもうすぐバレンタインデイか。
そりゃどうもありがとう。
あれ? いつもこんなことしてくれていたっけ?
ま、いいや。とにかくありがとう。
「まだ14日じゃないけどね」
うん、確かに。でもそれは些細なことだ。
1日前でも2日前でも大差ない。
ありがたく頂戴するよ。
「なんで当日じゃないかっていうと、反抗期だから」
へ? それが反抗のしるしなの?
娘はいたって真面目にそうおっしゃるからそうなのだろう。
反抗期宣言を真面目にするのもおかしな話だが。
つーか、この春から高校3年生だよね。反抗期、遅くね?
反抗の味は甘い。