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Remote Trust@RSGT2022 発表の補足記事

こんにちは。WealthParkでVPoEをしています、藤井です。

はじめに

昨日、RSGT2022にて、"Remote Trust"というテーマで発表をさせて頂きました。

寝てないです、マテオが喋ってるだけです笑

久しぶりのオフラインカンファレンスだったので、緊張したけど、めちゃくちゃ楽しかったです!感動すらありました。

今回は、イタリアからリモートでAgile Coachとして参画して頂いているMatteoとオフライン * オンライン(イタリアから)で同時発表するという新しい試みをしてきたのと、つたない(笑)英語で発表してきましたので、補足する形で日本語の記事を簡単に書いてみます。

英語の簡単なまとめは、同じく登壇者でカンファレンスで知り合ったCJさんがなんとグラレコを描いてくれました・・!

ぼくとマテオ

Remote * Trustというテーマについて今回は、テーマについていくつかMatteoと案を出して、結構悩んだのですが、最終的には今の自分たちの特徴と歩んできた道そのものであるRemote * Trustというテーマにしました。
どっちが各スライドで話すかをわかりやすくする為にスライドタイトルの後に似顔絵入れてみたらわりと好評でした。笑

ではスライドとともに補足していきます!

登壇資料

登壇資料はこちらになります。

Hot / Cold なコミュニケーションについて

http://agilemodeling.com/essays/communication.htm

この図はコミュニケーションの特徴を示しています。これはHotが良いとかColdが悪いとかではなく、Coldなコミュニケーションは潜在的な情報が読み取りいコミュニケーションであるこということです。潜在的な情報がとれないとは、例えば感情が読み取れないとか、声の抑揚、表情、話すスピードなどで感じ取れる情報が、紙だと感じることができないということです。そして、それらの情報がもっとも得ることができるコミュニケーションは、当然対面でのコミュニケーションになります。加えて、ただ話すだけではなく、ホワイトボードと組み合わせることで表現の幅が広がります。これは昔から変わることなく、"対面でホワイトボードがでコミュニケーションすること"が最もHotなコミュニケーション方法であるという事実は今も変わらないことだと考えています。

オンラインホワイトボード

Without Miro we could not survive

ここには気づきがあります。Full Remote Workによって発生する課題で最たるものは、対面で話すことだと誰もが思うかもしれません。でも実は、ホワイトボードで議論することができなくなったことが、Hotなコミュニケーションを妨げるもう一つの大きな課題だったのです。私たちが本当に幸運だと思ったことは、テクノロジーの進歩が、このコロナのタイミングに間に合ったということです。今では、オンラインでホワイトボードの機能を実現する、MiroFigjamのようなソフトウェアが実務レベルで利用可能なものとしてあります。これは本当に幸運なことだったと思います。これが無い状況でコロナがやってきてしまったらと考えると、恐ろしいです。

マテオがいくつかのホワイトボードの使い方を紹介してくれました。プロジェクトのステータスであったり、ユーザーストーリーの書き出しだったり、Kanbanのようなものだったりまします。プレゼンでは紹介しませんでしたが、下記の記事にMiroでやってみて良かったMTGを少しまとめています。オンラインホワイトボードを利用し、いかにホットなMTGの機会を持つかということが、関係性の構築や、間違った前提や仮定をすることから私たちを守ってくれます。

ペアプロとモブプロ

また、インタラクティブなやりとりという観点だと、コーディング、実装についても同様です。今では多くの企業でペアプログラミングやモブプログラミングを実践していて、Hotなコミュニケーションをしながらプロダクトを作り上げています。ここでも本当に幸運なことに、Live Shareなどのコラボレーションツールが実用可能なレベルであります。これらを使うことで、会話をしながら、複数人で一つのコードベースを見る、触ることが可能になりました。このようなツールは以前からありましたが、多くのツールが安定性に課題を抱えていて、このタイミングに間に合う形で安定したプロダクトが世に出たことも、本当に幸運なことがっだと感じています。

オンラインのコミュニケーションの難しさ

コミュニケーションの話に戻ります。

盛り上がらないMTG

全く盛り上がらないハドル

コロナによって、フルリモートワークになった瞬間、多くのチーム、会社が状況確認のためのMTGをまずは増やしたと思います。これは決してマイクロマネジメントしたいわけではないはずなのに、なぜか気づけば各人の作業を報告しているだけで、インタラクティブな会話が発生しない、という経験は多くの方が一度はしたのではないでしょうか。

メッセージの増加と常にオンラインでいる感覚

メッセージの数が増える

Slackで送られたメッセージの総数をみても顕著で、会社の人数が増え続けているにもかかわらず、メッセージの送信数のピークはコロナが始まったタイミングでした。

常に一定の緊張感

加えて、Slackで一日中メッセージをするようになり、多くの人が"常に仕事をしているような気持ちになる(Always Online)"モードにも苦しんだと思います。

表情の欠落

また、表情を読み取ることは、オンラインMTGではまだまだ難しいと思います。各人の画面が小さかったり、カメラがオフになっていたりして分からないことはよくあります。

小さなTipsとして、オンラインのコミュニケーションでも、出来るだけ表情、感情を表に出すことを心がけることが大事です。Stickyにハートマークを添えたり、絵文字を利用したり、kudosを伝えたりすることで、たとえ文面であても、可能な限りの感情を表現することができます。

そして、カメラをオンにしても体の身振りや手振りまでは分からないことも多いので、そのような情報もオンラインMTGでは欠落してしまいます。悩ましいです。

コミュニケーションについてのまとめ

そんな環境の中で、私たちは少なくとも何ができるのか、という簡単なまとめです。

Meetings = quality over quantity

本質的にはquantityも当然大事ですが、フルリモートによって、質の低いMTGが増えることが非常に多いです。MTGの質を意識することで、変えられるmtgがあります。

Video calls > Slack messages

エンジニアはテキストメッセージで比較的全てを伝えたがるし、わかって欲しいと思う(僕もそうです笑)ものですが、事実として、Video callの方がHotなコミュニケーションで、slack messageでは欠けるものがあるということを認知しておくべきです。そして、Coldなコミュニケーションが課題の一旦となっている場合はVideo callすべきでしょう。

Visualize with collaborative toolsPair work sessions

フルリモートによって失われるもので、取り戻したいものはMTGではなく、インタラクティブなコミュニケーションです。そのため、いかにコラボレーションを誘発するかを意識することが大切です。出来る限りMiroのようなツールを使うべきです。

Express your emotions as much as possible

オンラインMTGによって、感情表現の方法は限られますが、それでも可能な方法はあるはずです。あなたの気持ちをテキスト以外の方法でも可能な限り表現することで、潜在的な部分がより伝わると思います。

Camera on

比較的揉めるところですが笑、必須ではないです。必須ではないですが、カメラをonにすることで伝わる情報があります。なので、少なくとも問いかけ、可能であればonにしてもらうという取り組みは有効です。

Record short videos for a better async communication
Proper onboarding new members
この2つはあとで少しだけ詳しく話します。

社内でつぶやく

もう一つの取り組みかつ、keynoteで話されていた #smallworldnetwork の一つの体現な気がしますが、社内でつぶやく場所をつくる、という方法もあります。ここでは、仕事の話をつぶやくこともあれば、全然関係ないことをつぶやくこともあります。ここで話をしていることはreportingではなく、あくまでつぶやきです。でも、Twitterと同じでもしもその悩みを助けられる人がつぶやきを見てくれた場合は、助けてくれる婆があります。このような非公式でゆるいコミュニケーションはストレスがかからない形で何人かのコミュニケーションを促進させます。あえて補足するならば、全員がTwitterが好きなわけではないので、万人に使える方法ではないかもしれません。

社内つぶやきチャネル #times

Trust Formula

次に、信頼の公式についてです。
※ この数式あっている?という質問がありましたが、間違っていたそうです😅
R = (n-1)n / n と表現していましたが、正しくは R = (n-1)n / 2とのことです。

Trust formula
2人の場合は、片方向の信頼関係を構築するのに1日、つまりお互いが信頼関係を構築するのに2日
3人の場合は、片方向の信頼関係を構築するのに3日かかる。

全ての人が全ての人に対して信頼関係を作るのは現実的ではないし、必須ではない(もちろんできるならそれに越したことはない)
これを元に、チームに関係性がかかるのに時間が加速度的にかかっていくということがイメージできると思います。

Reference探してみるって言ってました。

Tuckman Model(タックマンモデル)

タックマンモデル

次は、みんなご存知のタックマンモデルについてです。皆さんは、フルリモートの体制に移行されてから、それまで統一期(Norming)や機能期(Performing)だったチームが、形成期(Forming)や混乱期(Storming)に戻ったと感じることはないでしょうか。僕は部分的にそれを感じることがあったので、それをいくつか紹介します。

Evaluation

ホットなコミュニケーションによる評価は通用しない

まずはなんといっても評価です。会社によっては評価、評価基準が明確に組まれている会社もあるかもしれないですが、そうではない会社も多いと思います(あるいはそれが被評価者には公開されていない)。それでも、みんなが同じ場所で仕事していた時は、あなたの評価者や上司はあなたの働きっぷりをある程度みることが出来ていたでしょうし、直接それが評価の決定する軸ではなかったとしてもフィードバックの時にそうやって得た情報が使われることがあると思います。ただ、このような形はフルリモートによって崩れ去りました。ほとんどの場合において、どうやっても評価者から見えない仕事はそれなりに発生するからです。上司が、俺はお前の仕事をいつも見てたけどという形で話してきても基本納得感ないですよね。なので、もしも仕組みが無い状態でHotなコミュニケーションによって組織が担保されていた場合、それが崩れる可能性がそれなりにあると思います。
なので、ヒアリングなどをしながら、課題を集めて、その中で出来ることを真摯にやっていきました。こちらについてですが、完璧な評価などは無いですし、仮に不満を言ってる人も完璧なものを求めているわけではないことが多いので、改善や行動を見せることが大事だったという感覚があります。(この話は別途掘り下げてどこかで書くかも)

情報の格差

次に、情報の格差についてです。ここでは2つの例を紹介します。

議事録や結論からはコンテキストが分からない


私たちの会社では、コロナの前から部分的にリモートワークを行っていました(あるいは海外からリモートワークしているメンバーもいます)が、大半のメンバーは出社しています。出社しているメンバーで、オフラインのMTGも当然たくさんありました。そのMTG自体はとでも効果的で、良いものです。でも例えば一部のリモートワークしている人が参加できなかったり、他の予定があって参加できないメンバーがいたりしました。そうなった時にどうなるかというと、議事録や結論が共有されると思います。ただ、たいていの場合議事録はやや断片的で、結論はコンテキストが読めないので、なぜその結論になったのかが分からなく、もう一度確認作業が発生したりしてしまい、MTGに出れない人が苦労することになります。

次に、同じフルリモートワークでも入社時はそうでなかった人と、入社時からフルリモートワークである人の違いにも気付かされました。前者は、ある程度そこで気づき上げた信頼や関係性をベースに仕事をしますが、後者はオンボーディングの仕組みが無い限り、非常に立ち上がりが遅くなりますし、苦労しますし、関係性を構築するのに時間がかかります。なので、フルリモートワークにしてから、今まで自分たちのオンボーディングがいかに体型的ではなく、Hotなコミュニケーションに頼っていたのかを実感しました。このポイントは、Hotなコミュニケーションが悪いということではなく、一部のリモートワーカーはすでにその問題に直面していて、苦しんでいたという事実です。ただ、それが少数派であり、問題が隠れてしまっていました。
このような事実がコロナとフルリモートワークによって炙り出されたと感じています。

Remote & Trust

Remote work reveals what's missing in building true trust

なので、リモートワークと信頼の関係性について考えた時の結論は、"フルリモートワークが真の信頼関係を構築する上でかけている部分を明らかにさせる"ということです。
リモートワークによって、多くの潜在的な問題が表面に浮かび上がってきました。これは大変なことでもあるし、改善のチャンスでもあります。今まで一部の人が体験していた問題が表面化したり、コミュニケーションによって仕組み化をできていなかったことが明確に問題になっていくことは、改善のチャンスだと思っています。

まとめ

まとめです。

藤井がきにしてること

VPoEとしてRemote * Trustという観点で気をつけていることを抜粋しました。

  • 質問したい時に質問されたり、相談される人であること

  • 決めつけや前提を作らない。もちろん頭に自分の中の仮説を持つことをありますが、その場合をそれを確認するようなコミュニケーションをする(これは決断を下さないという意味ではありません)

  • リモートワークになって情報をキャッチアップできないことは増えるので、分からないことは分からないという

  • 感謝を伝える

  • 技術的なこと以外のサポートを会社として頑張る

    • これは、このテーマを話すにあたり、社内のメンバーに信頼について色々聞いてみることをしたのですが、技術的なこと以外のサポート体制や相談に向き合ってくれることを挙げていた方が非常におおかったです。コロナで長い間家族や恋人と会うことができていない方がいたりいます。例えば国に帰ることができるのかとか、リモートワークの可能性について話し合ったりすることは、彼らにとって非常に大事なことです。

なにが信頼を育むか

  • 失敗を認める、称賛すること

  • 助けを躊躇なく周りに求めること

  • フィードバックを与えるし、求めること

  • 役割と責任を明確にすること

  • 現実的な期待

  • 傾聴

  • なぜから始める

  • 良い仕事を称賛する

  • 透明性と誠実さ

  • 自分のことを話す

これらのことが信頼関係を構築する上で大事だと考えています。

かなり駆け足感もありますが、タイムリーに記事を出したかったのもあるので、以上がざっと私たちの発表のまとめになります。プレゼンの補足になりましたら幸いです。

さいごに

今回、会場とリモートのプレゼンのハイブリットということで、どうなるか不安でしたが、マテオと楽しく話をすることができました!お互いの信頼の賜物です笑
いつかコロナが収束して、一緒に話せる日がくると嬉しいなと思っています。

久しぶりにオフラインのカンファレンスに出られて本当によかったです。
人との出会いがある。
オフラインカンファレンスの良さ、忘れてたなー
またどこかで話をしてみたいと思いました!


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