多様性の科学を読んで - エコーチェンバー現象
最近note更新出来ていませんでしたが、読んだ本の記録です。
多様性の科学という本を読みました。
前作の「失敗の科学」でもとても有名なマシュー・サイドの新作です。
本の内容とは関係ありませんが、オックスフォード大学を首席で卒業後、卓球10年間イングランド1位って多彩すぎませんか。
多様性(ダイバーシティ)という言葉は、今私が働いているWealthParkにおいてもよく使われる言葉です。私はここでエンジニア組織の責任者(VPoE)をしています。WealthParkのエンジニア組織は、非常にダイバーシティが豊かで、10ヶ国以上の国籍のメンバーから構成されています。(日本人の割合も1割程度です)
国籍だけがダイバーシティでは当然ありませんが、様々な文化か思考を持つメンバーから組織は構成されていて、業務の中で1人1人の考え方や、大事にするものの違いを感じることも多いです。
前職の楽天でも国際色豊かな組織で働いてきましたが、振り返ってみると、無意識なバイアスや、環境を変えることで、各メンバーの個性を十分に活かすことが出来なかった経験は多くあります。
そんな中、多様性を体系的にまとめたこの本を、自分にとって興味をそそられるものでした。
実際に読んでみて、気になった現象をピックアップして紹介してみます。ただ、本に書かれている詳細な部分には触れないので、気になる人は是非本を読んでみて欲しいです。自分的には結構読むのに時間がかかる本でしたが、1章ごとに読んでも読み進められる本だと思います。
この本について
この本は、多様性が何か、なぜ重要か、どのような効果があるのか、といのを様々な実例と共に分析していきます。実例の話の1つ1つは、多様性を焦点に当てることでとても興味深いものになっています。
9.11の背景にあるCIAの組織としての多様性の課題や、1998年のエベレスト遭難事件の背景にあった団結力の中での多様性の課題など、実話を元に多様性について分析しています。
一個一個の話が面白いですし、またその実例に合わせて多様性の側面を感じることができるのでおすすめです。
例えば、どのようなことが書かれているかのイメージとして、本で紹介されていた1つの現象についてこのnoteでは書いてみます。
エコーチェンバー現象
これは、本書の5章の題目となっています。
エコーチェンバー現象とは、
狭いコミュニティで、同じような意見を見聞きし続けることによって、自分の意見が増幅・強化されることを指す。
です。本書はでは、白人至上主義のコミュニティに囲まれて育った人が自然と白人至上主義になっていったという話を例に、自然な形でエコーチェンバー現象に陥る例を示しています。
その一説で面白いなと感じたのは、大きな大学と小さな規模の大学の学生のどちらが多様な社会的ネットワークがあるか、という話した。(断っておくと、必ずしも規模でこの結果が決まるわけではない。)
結果からいうと、小さな規模の大学の学生の方が、より多様な社会的ネットワークがあるという結果でした。この結果を導いた大きな要素は、規模が大きな大学は多様性は多い一方で、規模ゆえに自分と思考が近い人を見つけることが容易で、それが気の合う小規模なコミュニティを形成することにつながる。
小規模な大学の方が結果としてそこにいる人たちからコミュニティを形成するがゆえに自分とは異なるタイプの人とコミュニティを形成せざるをえない、ということっだった。
これは、小規模の大学をスタートアップに置き換えることもできます。
スタートアップの多様性は、様々な考え方の違う人たちの融合を起こす可能性に繋がります。
逆に、同じような思考のメンバーが集まれば、その思考は強化されるということでもあります。
また、エコーチェンバーは現象は、自分と異なる意見が完全に耳に入ってこないような状態ではありません。(遮断される方はフィルターバブル現象)
自分たちの信条に合わない意見や情報は一定届くものの、同じような考え意見が多く入ってくるような状況において、自分の考えが非常に強化され、それらの意見や情報を自主的に遮断してしまう※ような状態です。
エコーチェンバー現象でのポイントは、別に自分と考え方が異なる人の意見が入ってこないわけではないという所です。ただ、自分の中で意見が非常に強い状態に入っていて、異なる人の意見を受け入れることが全くなかったり、あるいは反対意見を不当化して、より一層自分の意見を強めることになるという点です。
これは、エコーチェンバー現象というか、同じ考えや思想の人が集まること自体が悪いというわけではありません。もちろん僕たちは趣味があう人たちでコミュニティを作ったりしますし、それ自体は悪いことでなく、素敵なことだからです。また、会社としての信念だったり、cultureだったりも社員のメンバーで共有するべきものです。
ただ、ふとしたタイミングで、※の状況に陥ることは、誰にもあると思います。その為、多様な考えを持つコミュニティに触れていること、この現象自体を認知しておくことは盲目てきな状態に陥らない為に大切です。
そしてまさにこの人は大学で自分とは考えの違う、多様性に触れ、時間をかけてエコーチェンバー現象から抜け出します。
これを1例として、様々な実際の話を例に、多様性の大切さや姿に気づくような話が語られています。
面白そうだと思ったら是非本を読んでみてください。
さいごに
本を読んで、改めて
・無意識のバイアスを避けること
・多様性が発揮される環境(例えば誰でも会社に対しての意見を言えるようにすること)
上記の2つを意識したいなと思わされる本でした。
また、多様性の大事さは僕はどちらかというと楽天での経験や、WPでの経験を通じて感覚的に培っている所が非常に多く、この本の様に体系的に情報がまとめられているのは思考の整理に非常に役立ちました。
上のエコーチェンバー現象の例が面白そうだと思ったら是非多様性の科学を読んでみてください!
この本を読んで、多様性というテーマで色々と思うところはあるので、これは今度小粋.fmで@inase17000と話をしてみるか、多様性そのものについて、今度noteを書きたいと思います!
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