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建築の申請と検査


山梨のこども園の引き渡し日が近づいています。
引き渡しの際には手続きがいくつかあるのですが、
当然ですが法的な基準をクリアした建物でなければなりません。

その法令関係に関して少し触れたいと思います。


確認申請とは

建物はどの場所でも好き勝手に建てられる訳ではありません。
市街地には市街地の、農村地には農村地なりの基準というものが決められています。基準は市街地の方が厳しく、農村地の方が比較的緩いです。
それは市街地の方が建物が密集しやすく、火事が起きてしまった際に、周辺に広がりやすかったり、日照環境が厳しくなりがちであったり、隣地への影響を与えやすい為です。また、工場地帯には工場が、住宅地には住宅が集まるよう、様々な用途が入り乱れないよう配慮された法律が定められています。

建築基準法には大きく分けて、周辺住区や街としての秩序を守るための法律(建物の高さ制限や・日影規制など)と建物単体が安心・安全に使えるような法律(採光・換気や避難に関する事項)があります。

確認済証を受領する為には消防の同意も必要になります。建築基準法と別に消防法というものが存在し、消防同意は所轄の消防署に図面審査をしてもらい、消防法に適合した建築物であるかを審査していただきます。

上記のような建築基準法及び消防法を遵守した建物であるかを図面及び書類によって審査し、それをクリアした場合に限り、工事着工が認められます。
その工事着工して良いという証が確認済証と呼ばれるものになります。
(厳密に言うと全ての建物の着工に確認済証が必要な訳ではないのですが、ほとんどの場合は必要になります。)

検査済証とは

確認済証と別に検査済証というものがあります。
これらは対になっており、大切に保管しておくべきものです。
どちらかしかないという方が時々おられますが、意味合いは全く異なるものなので、既存の建物があり、それを利用するつもりであれば事前に存在を確認しておいた方が良いかと思います。

では検査済証とは何なのか。

確認済証が図面によって法適合を審査しているものに対し、検査済証とは確認申請時の図面通りに建物が出来上がってるかを審査し適合が確認された際に発行される証書になります。

いくら図面が法適合していても、工事の際に内容を変えられたら意味が無いため、図面による審査と工事完了時の審査が必要になるわけです。

そして数年後、建物を増築、改築、用途変更したい場合に、これらの確認済証、確認申請図書、検査済証がとても重要になってくるのです。

非常に古い建物の場合は上記のような済証が紛失している場合もあります。
色々な手続き及び調査を行えば、済証が無くても増改築が出来る場合もありますが、時間及びコストが通常よりも多く必要になってしまう為、もし紛失していて増改築を行いたい場合は速い段階でご相談をいただければと思います。

山梨のこども園の検査

さて、先週は山梨のこども園の検査週でした。

検査にはいくつか種類があり、検査済証を下ろす為には、消防の検査と建築の検査が必要になります。(場合によっては造成や昇降機の検査も必要です。)

その他に保健所の検査や保育園などの場合は保育課の検査があります。

避難口を明るく照らす誘導灯が設置され非常時に点灯するか、避難経路が安全に確保されているか、火災の際に煙を感知する機器が作動するか等の確認を行います。


建築の検査とは先にも述べた通り、申請図通りの建物となっているかの確認を行います。建物の配置、道路幅、建物の高さ、窓の位置と高さ、部屋の配置、排煙窓の有無、排煙たれ壁、界壁の有無とそこを貫通する設備機器の処理方法などの現地確認。
施工が終わってしまって見えない部分(主に構造部)については書類にて検査結果(構造の強度結果や接合部などを第三者機関に検査をしてもらいます)の報告を行います。

常にそれらを事前に自主的に確認し検査に臨むので基本的に問題があることは無いのですが、どこか見落としが無いかと、毎回検査時は少し緊張してしまいます。


上記の法的な検査と別に、弊社では施工会社の自主検査、設計事務所の検査、お施主様の検査を行い、是正を行った段階で引渡しを行います。

設計事務所の検査とは、担当者以外の技術者が建物の安全性や施工の瑕疵がないかの確認を行うものです。担当者以外の第三者の人間を入れる事で二重三重の確認を行い、引渡し後のトラブルがないよう、入念にチェックを行います。


これらの検査を経て引渡しを行います。
こちらは再来週には引渡しの予定で、まだ是正工事と外構工事が残っている為、もう一踏ん張りと言うところです。

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