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心に刺さる“名台詞”を振り返る『silent』

2022年10月にスタートした木曜劇場『silent』は、静かでありながら、視聴者の心に深く響く名作ドラマとして語り継がれています。主演の川口春奈さんを中心に描かれる人間模様と台詞の一つ一つが印象的で、特にその言葉が観る人の胸に刺さります。

今回は、そんな『silent』の中から、心に残った名台詞をエピソードごとにご紹介します。

完全オリジナルとなる本作は、主人公の紬が、本気で愛するも別れることになってしまった高校時代の恋人・想と8年の時を経て偶然の再会をはたし、そこに待ち受けていた現実と向き合いながらも寄り添い、乗り越えていこうとする姿を丁寧に描いていくラブストーリー。大切な人との別れを乗り越え、今を生きようとしている女性と、障がいを患ってしまったことで自分と向き合えず別れを選んでしまった青年。音のない世界でもう一度“出会い直す”ことになった二人と、それを取り巻く人々が織り成す、せつなくも温かい物語が紡がれていきます―。

『silent』公式サイトより


第1話

「いやでも週5で好きな人に会える場所」

「今思えば、学校っていうのはすごい場所だった。いやでも週5で行く場所で、いやでも週5で好きな人に会える場所だった。」

青羽紬

紬が高校時代を振り返るシーン。この言葉を聞いて、多くの人が自分の青春時代を思い出したのではないでしょうか?何気ない日常の中に、特別な瞬間がたくさん詰まっていることに気づかされます。

「うるさい。お前うるさい」

「うるさい。お前うるさい」

佐倉想

第1話終盤の想のセリフ。8年越しに再会した紬に冷たく言い放つ想の言葉。高校時代の想が「青羽、うるさい」と冗談を交わし合う場面が冒頭に描かれています。この始まりと終わりで描かれた「うるさい」の対比が胸に刺さります。過去の穏やかな時間と現在の切ない現実。言葉の重みがここまで変わるのか、と痛感させられる台詞です。


第3話

「期待と圧力は違うよ」

「やれば出来るって、やらせるための呪文だよ。期待と圧力は違うよ。」

戸川湊斗

過労や上司のセクハラなどに悩む紬に湊斗が投げかけた言葉。「やればできる」という言葉の裏に隠れた重圧や無理が、どれだけ人を追い詰めるのかを表現しています。このシーンを見て、「自分も無理しすぎていないだろうか?」と自問した人も多いのではないでしょうか。


第6話

「私は生まれてからずっと悲しいわけじゃない」

「音がなくなることは悲しいことかもしれないけど、音のない世界は悲しい世界じゃない。」

桃野奈々

先天性難聴の奈々が、失聴に苦しむ想に伝えたこの言葉。耳が聞こえないことで「悲しい人生」と決めつけなくていい。障害があっても幸せに生きられるという強いメッセージが込められています。この台詞を聞いて、障害を持つ人への偏見や誤解について改めて考えさせられました。

「プレゼント使いまわされた気持ち。好きな人にあげたプレゼント、包み直して他人に渡された感じ。」

桃野奈々

第7話

「好きな人とファミレスでごはんはデートだよ」

「デートの基準は場所じゃないよ。相手だよ。」

横井真子

「ただのごはん」と否定する紬に真子が放った一言。好きな人と一緒なら、何気ない場所や出来事が特別な時間になるという、シンプルながら深い真理です。この言葉に共感し、日常の些細な幸せに気づいた人も多いのでは?

「想くんが好きって言うから、好きなふりしてた。」

桃野奈々

「気持ちを伝えようって必死になってくれる姿ってすごく愛おしい。まっすぐにその人の言葉が自分にだけ飛んでくる。」

桃野奈々

「この前、プレゼント使いまわされた気分って言っちゃった。私が想くんに教えた手話があの子に伝わっていくの。でも今は、おすそ分けしたって気持ち。あげて良かったって気持ち。」

桃野奈々

第8話

「善意は押し付けられたら偽善なの」

「どう受け取るかはこっちが決めることだから。」

桃野奈々

手話を学び始めた春尾に対して、奈々が感情的に放った言葉。この台詞には、善意を押し付けられることへの息苦しさや、「相手の気持ちに寄り添うこと」の重要性が詰まっています。言葉だけでなく、行動や態度の意味を考えさせられるシーンでした。

「ニコっと笑う子だった。彼女が笑うと本当にニコっと音が出そうだった。」

春尾正輝

「ありがとうって使いまわしていいの?」

桃野奈々

「言葉は通じるようになったのに、顔を見て話せるようになったのに、押し付けた善意で終わった。」

春尾正輝

第9話

「困った時、思い出したら相談してくれればいい」

「親だからって、なんでも話さなきゃだめってことないし。親だから言いたくないこともあるだろうし。それでいいんだよ。困った時、思い出したら相談してくれればいいんだよ。でも、心配はする。心配されるの嫌なの知ってるけど。」

佐倉律子

耳の問題が発覚して以来、どこかぎこちなかった想と母・律子の親子関係。しかし少しずつ歩み寄り、会話ができるようになったときに律子が想にかけた言葉です。この台詞には、親としての温かい愛情と、相手の距離感を尊重する優しさが込められています。「親だからこそ話せないこともある」という視点に、多くの視聴者が共感しました。


第10話

「言葉の意味を理解することと相手の想いが分かるってことは違った」

春尾正輝
「手話はコミュニケーションの手段でしかなかった。言葉の意味を理解することと、相手の想いが分かるってことは違った。」
桃野奈々
「そうだね。」
春尾正輝
「聴者にいろんな人がいるように、ろう者にだっていろんな人がいたし、いろんなろう者と知り合ったけど、桃野さんみたいな人は桃野さんしかいなかった。結局は伝えたいとか受け取ろうとか、そういう気持ちがあるかどうかなんだと思う。」

春尾と奈々の深い会話が描かれるこの場面。手話を学び、ろう者との交流を通して得た春尾の気づきが語られます。言葉そのものよりも、言葉の向こうにある想いや意図を理解することの大切さを表現しており、これは『silent』のテーマそのものです。お互いを理解し合うことの難しさと喜びが強く伝わるシーンでした。


第11話(最終話)

「お別れする時こそね、全部相手に渡さないとだめ」

「中途半端にすると自分の中に残っちゃうから。」

青羽和泉

紬が想と最後に会う決意をしたシーンでの母との会話。「未練を残さず、全てを伝えることで新しい一歩を踏み出せる」という母の教えに、別れと向き合う力強さを感じます。別れは悲しいものですが、それをしっかり受け止めることの大切さを学べる言葉です。

「青羽の言葉が見えるようになってよかった」

「青羽の声、思い出せないし、もう聴けない。でも、青羽の言葉が見えるようになって、よかった。」

佐倉想

想が紬に伝えたこの台詞。耳ではもう聴けないけれど、手話を通じて紬の想いが「見える」ようになったという感謝の言葉が、最終話の締めくくりにふさわしい温かさを感じさせます。


『silent』は、台詞の一つ一つに込められた想いや意味を噛みしめながら観ることで、新たな気づきを与えてくれる作品です。言葉を交わすことの大切さ、人と人とが繋がることの難しさと喜びが詰まっています。

このシーンも良かった😢

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