『カレーが辛かった』
X JAPANのYOSHIKIがかつて、カレーが辛くてライブのリハーサルから帰ってしまった話ではない。
カレーが辛かった。たったこれだけの理由で、僕は昔から嫌いな食べ物が「カレー」だった。これを言うとかなり驚かれる。おそらくカレーが嫌いな男なんてほとんどいないだろう。
僕が子供の頃は、星の王子様カレーがあった(今もあるのかな?)。小さい頃、この星の王子様カレーが辛くて食べられなかった。朧げだが、辛くて泣いた記憶もある。それ以来、カレーが嫌いになった。というか、辛い食べ物が嫌いになった。ただ、醤油辛いとか塩辛いのはかえって好きで、所謂香辛料やワサビの辛さが苦手だった。
厳密に言うと、辛くて舌がバカになって、本来の味もわからなくなるのが嫌だった。
以来、例えば家族で寿司を食べるときも、僕だけサビ抜き。お袋はほとんどカレーを作ることはなかったが、たまに作るときにも、僕だけハヤシライス。ちなみに親父は辛いカレーが好きなので、必ず大鍋二つだった。
実際辛くて苦手だったこともあるが、加えて「カレーが嫌い」というと面白がられて話が盛り上がるので、カレー嫌いで通してきた。
歳月は過ぎて、結果から言うと今の僕はカレーも好きだし、辛いモノも好きだ。むしろ激辛が好きになってきた。大変な進化である。翌朝トイレからは出られないけど。
きっかけというか理由は明白で、大学生時代のアルバイト経験にある。
バイト情報誌に載っていた写真の人が可愛かったという理由だけで、僕はその中華料理店に電話をかけて、アルバイトの面接をした。結果として、大学生時代の4年間はその中華料理店でずっとバイトをすることになる。
実家暮らしで大学に通っていた僕は感覚というか発想がなかったのだが、地方から上京している大学生にとって「賄い付き」というアルバイトはかなり良いみたいだった。実際、バイト仲間には地方から上京している大学生が多かった。
そしてそこのまかないが、とにかく美味かった。毎回色々な料理が出てきて、本当に美味かった。
当然中華料理店であるから、まかないに麻婆などの辛い料理もある。正直苦手だった食べ物も、何度も食すと好きになってくるらしい。
大学を卒業する頃には、辛い食べ物は完全に克服していた。というかむしろ好きになっていた。
そして、カレーを金出して食べることがほとんどなかったのだが、最近は特にインド料理店などのカレーが美味しくてハマっている。これは恐らく、今年のゴールデンウィークにネパールとブータンに行った経験も大きく関わっているだろう。ネパールのホテルで食べたバターチキンカレーが激ウマだった。
カレーが辛かった。味覚は変わっていくのだろう。今では色々なカレーを試してみたいとすら思っている。
ちなみに、一昨年仕事で行った上海で食べた激辛火鍋も、激ウマだった。
ただ一つ難点というか、僕は代謝が良すぎるのか、発汗が半端じゃない。これは本当に深刻で、例えば夏場に家で辛い食べ物を食べていると、僕の椅子の周りに水たまりができる。大げさではなく、本当にバスタオルを椅子に敷いて食べているのだ。
まぁこれからの季節であれば、まだマシだろう。色々と辛いものを食べて、トイレに籠ろうと思う。