千に一つの奇跡をつかめ!


 千本倖生著「千に一つの奇跡をつかめ!」を読みました。著者は京大卒業後、電電公社を経て第二電電の創業に携わり、退社後は大学教授をへてイー・アクセスを創業、ソフトバンクに事業譲渡後、株式会社レノバの代表取締役会長に就任し、現在は取締役会長というもの凄い経歴の方です。稲盛和夫氏の本にも登場するので、お名前は存じ上げておりましたが、今回お話を聴く機会に恵まれたので、予習として手に取りました。

 「クオンタムリープ」という聞き慣れない言葉が登場しましたが、これは量子力学の言葉で「量子的飛躍」という意味だそうです。ビジネスで置き換えるなら、段階を経ながら少しずつ成長していく事業が、ある時突然目覚ましい成長を遂げるということ、個人においても同じで、何かをきっかけに飛躍的な成長を遂げるようなことを表しているそうです。そうした成長は「大きな苦難に遭遇したとき」と「未知の体験」をしたときにおこると多くの経営者が言っているそうです。私は経営者としてはまだまだ末席ですが、「未知の経験」での成長という意味では、身に覚えがあるように思います。しかしながら、その時は、毎日不安に駆られて胃がキリキリするような思いをしておりました。そうした経験から、未知のところに踏み入れることを何となく避けていた自分がいたような気もしてきたので、大変反省させられました。

 著者は、自らの起業家人生から得た要諦として
1,自分のミッション(使命)に目覚め、
2,自分にしかできない「何か」を生み出し、
3,世のため、人のために尽くす
の三つをあげています。自分に置き換えるとなんとも情けないのですが、2については、自分でなくても良いような仕事ばかりしているようにも思えます。そして、自分にしかできない「何か」を今まで生み出せているのかというのも難しいところです。3は稲盛和夫氏の影響丸出しで、とても好感が持てました。

 ファーストペンギンとして非難も浴びながら電電公社を飛び出し、第二電電を創業、そこから飛び出してさらに創業するという起業家スピリッツにあふれた方で、行間からエネルギーがあふれてくるようでした。稲盛和夫氏に対するリスペクトもあふれていて、共感できるところも多くありました。読み終わって最大の疑問は、こんなすごい起業家が、なぜ電電公社に就職したのかということです。勝手な想像ですが、お役所的な仕事の進め方に我慢できなかったのかもしれませんね。講演を聴くのが楽しみです。

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