銃弾の真実

 伊勢谷武著「銃弾の真実」を読みました。著者はゴールドマンサックスのデリバティブ・トレーダーを経て投資家情報関連の会社を創業し、代表取締役を務める傍ら、Amazon Kindleで「アマテラスの暗合」を発表された方です。安倍元総理の暗殺について書かれた本ですが、本書がKindle Unlimitedにあったので、何となく取得したのですが700ページ弱のボリュームとショボい装丁から、読み始めるのに時間がかかりました。柴田哲孝著「暗殺」を読んでいるときに、一度自宅に忘れて電車で読めなかったときに、ipadで本書を読み始めると、かなり引き込まれました。

 本書も山上の単独犯ではなく、別にスナイパーがいたとしています。そのスナイパーはCIAに洗脳された人間でした。そして、阿部元総理(本書ではこの字でした)のSPを務めていた藤堂という男も洗脳されており、狙撃事件の時に適切に動けなかったということでした。

 藤堂が主人公で話が進んでいきますが、話の内容の多くはWar Guilt Information Program(以下WGIP)についてでした。阿部元総理の狙撃事件の後、無力感に駆られる藤堂でしたが、真相究明しようと思い直して動き始めます。その活動の中でWGIPの事を知り、それに毒された現状の日本を立て直そうとしていた阿部元総理が、そうはさせないという勢力、アメリカから狙われたということでした。

 実際に安倍元総理が言っていた「戦後レジームからの脱却」というのは、本書の中では先述した「WGIPに毒された日本を立て直す」ということでした。ストーリーの中で望月衣塑子をモデルにしていると思われる女性ジャーナリスト・持山伊早子が登場し、学生時代に共に左翼活動をしていた男・宮越と再会します。その宮越は保守に転向しており、南京大虐殺について二人が論争になりますが、持山がケチョンケチョンに論破されており、この件は大変痛快でした。

 WGIPについては私自身がまだまだ勉強不足ではありますが、本書に書いてあるWGIPは「そんなところまで?」と驚かされるようなものでした。あくまで小説なので、鵜呑みに出来るものではないのかもしれませんが、資料も引用されており、良くまとまっているので、少しずつ裏を取るのも面白いかなと思います。現状のWGIPに毒された体制について「いまだけ、金だけ、自分だけ」と批判していましたが、これって前回の参院選で参政党が良く使っていたフレーズですね。著者も参政党を応援しているのかもしれません。

 大雑把にまとめてしったので、荒唐無稽な内容かと思われてしまうかもしれませんが、柴田哲孝著「暗殺」よりも腑に落ちる内容でした。

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