野良犬の値段(上)(ネタバレします)
百田尚樹著「野良犬の値段(上)」を読みました。著者は作家ですが、最近はYouTuberを自称しています。発売されたときに買おうかなと思いましたが、文庫落ちを待っていました。
24時間営業の定食屋でアルバイトをするフリーターが、スマートフォンでネットサーフィンしていくところから始まります。たまたまツイッターで見かけた投稿から「誘拐サイト」に誘われ、その誘拐サイトのURLを「誘拐犯発見!」という文言と共に投稿します。誘拐サイトのURLが掲載された元の投稿は削除され、このフリーターの投稿が大元のようになってしまいました。
この誘拐サイト、毎日朝の8時に更新されます。「私たちは前代未聞の誘拐を実行中です」、「現在誘拐した人物の健康状態は良好です」などと投稿され、そのサイトが徐々に注目を集めていきます。いたずらなのか、本当に誘拐なのか、警察、新聞社、週刊誌の発行会社、テレビ局など様々な方面から、幽界サイトとのかかわりが描写されていきます。
誘拐サイトで「6人を誘拐した」と報告され、6人の実名と顔写真も登場すると、俄然世間からの注目も集まるようになります。警察、テレビ局が6人の身元を洗いはじめます。どうやら5人がホームレスらしいと分かってきますが、不明な1名については、その妹一家らしき描写がありました。しかしこれは、ほんの少しだけで、この後、どう絡んでくるのか楽しみです。
誘拐サイトは、テレビ局2社、新聞社2社に対して身代金を要求してきます。ホームレス、身代金という言葉で何となくタイトルの意味がちょっと理解できたような気がしました。テレビ局2社と新聞社1社は公式に要求に応じない旨を発信します。1社、反応をしなかった新聞社に対して、誘拐サイトはたたみかけるように1社だけに身代金を要求、支払わなければ6人の内1人を殺すと言い出しました。新聞社は要求を呑まない旨を発信すると、翌日朝、渋谷のハチ公像のところに箱に入った生首が置かれているのが発見されます。大事件に発展し、世間の注目が一層集まりますが、一度サイトは閉鎖されてしまいました。いくつもの海外のサーバを経由してサイトのようで、それを警察が追いかけていましたが、サーバがC国にあるとつかんだところでサーバ自体が閉鎖されたのではないかとありました。人が1人亡くなったことで、要求に応じなかった新聞社に対し解約依頼が殺到します。皮肉なことに身代金の5倍近い金額が解約されてしまうという試算が出てしまいました。
しかしながら、すぐにサイトが復活し、次はテレビ局、しかも公共放送に対して身代金を要求してきます。しかし、テレビ局も要求には応じない旨を発表したところで、たくさんの疑問を残しながら上巻は終了です。いやー、下巻が楽しみすぎます。
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