カープうるっとくる話


 三才ムックVol.751「カープうるっとくる話 鯉戦士がもっともっと好きになるエピソード集」を読みました。買って積読してあったものを、風呂で読むのにちょうど良さそうなので手に取りました。

 投手編、捕手編、内野手編、外野手編、首脳陣・スタッフ編、応援編と別れており、最初は黒田投手のエピソードでした。どうやら2015年のシーズン前、黒田投手が復帰することが話題になり、黒田投手についてはそのあたりのエピソードが満載でした。マエケン、大瀬良、呑む輔、いやノムスケ、福井とつづくのですが、その後、今村のところで、「DH今村」のエピソードが登場しました。かつて予告先発がなかった時代に、前日先発した投手などを偵察要因でスタメン起用し、第一打席に代打を出すなんていう作戦がありましたが、その偵察要因に指名打者に今村を起用したものの、当時の野村謙二郎監督が「指名打者は相手チームの先発投手に対して、少なくとも一度は、打撃を完了しなければ交代できない」というルールを失念しており、今村が打席に入らざるを得なくなったというエピソードですが、これって今村のエピソードというよりは、野村監督の失敗談だし、どこが「うるっとくる話」なのかと思いました。

 その後も「うるっとしない話」が出てくること出てくること。さすがに括り方をミスったように思えます。ただのエピソード集と思えは、それでも楽しむことはできるのですが、残念ながら日本語がおかしい部分が散見されたり、wikipediaからの引用があったり、ネットから情報を集めて、編集しただけのようでした。

 首脳陣で当時の佐々岡2軍投手コーチについても書かれていましたが、「100勝100セーブの快挙」と題して、「2000年まで広島の18番を背負う者として先発の座を渡さずに登板していたが、年齢と共に衰え始め、中継ぎへ回ることも多くなった。そして2006年に史上2人目の先発100勝100セーブという快挙を達成した。」と書かれていました。いやいや、これはもう出鱈目の部類でしょう。佐々岡の初年度の成績は44試合登板、13先発、完投6、13勝11敗17セーブという訳の分からない数字で、初年度から先発と抑えという今では考えられない登板をこなしていました。年齢で衰えたのかもしれませんが、先発もこなしていますし、あくまでチーム事情でいろいろと配置転換された上での100勝100セーブなわけです。

 株式会社三才ブックスという編集者のものですが、黒田フィーバーでカープに関する本を出して一儲けしてやろうという浅はかな意図がにじみ出ているように思えました。そして、その浅はかな意図に乗せられたことに8年後に気が付いた残念な私です。

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