野村祐輔投手引退

 カープの三連覇の原動力となった野村祐輔投手が引退を表明しました。野村投手は「カープで13年間プレーできたことを誇りに思います。野球人生の中で3度のリーグ優勝を経験させていただいたことはとても大きな宝物です。野球を始めて29年間、ずっと続けることができてとても幸せでした」とコメントしています。

 岡山県出身ですが、生まれは母方の実家のある北九州市の病院でした。後に同僚となるカープの安部友裕と同じ病院で30分違いで生まれたと言いますから、面白いめぐりあわせです。広陵高校では現巨人の小林誠司とバッテリーを組み、夏の甲子園で準優勝を果たしています。決勝戦では決して下馬評の高くなかった佐賀北の「がばい旋風」に飲み込まれ、逆転満塁ホームランを打たれてしまいました。その前の1球をボール判定された時の顔がなんとも印象的ですし、1球の恐ろしさというのを物語るのにこの上ないシーンだと思います。

 明治大学に進学して、ドラフト1位でカープに入団。ルーキーイヤーは9勝11敗と負け越したものの、防御率1.98という記録を残し新人王に選ばれています。2年目も12勝6敗と好成績を残し、この年カープは初のクライマックスシリーズに進出しています。2014年もカープはクライマックスシリーズに進出、黒田投手、新井選手が復帰し2015年は優勝の気運が盛り上がっていましたが、この2年間、野村投手自身は不本意な成績に終わりました。

 2016年、マエケンがいなくなって自覚が出て来たのか、黒田投手の影響があったのか、16勝3敗、防御率2.71という成績で最多勝と最高勝率を獲得しベストナインにも選ばれています。2017年は9勝、2018年は開幕投手となりますが、その後の成績は振るいませんでした。

 球速はそれほどありませんでしたが、抜群のコントロールと多彩な変化球で、素人目にはわかりづらいベテランのような投球をしてくれました。バッティングも良かったイメージがあります。6回までをしっかり投げて試合を作り「定時退社」と揶揄されることもありましたが、確かに通算で完投は3、完封は1しかありませんでした。

 プロ入りしてから208試合登板し、そのすべてが先発というのも珍しいですね。通算では80勝63敗。120勝くらいしているイメージでしたが、意外とそうでもありませんでした。うーん、もう少し出来るのではないかなんて思いもありますが、13年の現役生活、大変お疲れさまでした。10月5日の最終戦で錦を飾って下さい。

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