シン・共産党宣言
松竹伸幸著「シン・共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由」を読みました。著者はジャーナリストで、日本共産党の党員です。先日、本書の主張によって、日本共産党を除名されたのが話題になりましたので、どのような主張をされているのか気になり手に取りました。
冒頭、「日本の主要な政党の中で、党員による党首選挙をしていないのは共産党と公明党のみである。」とありました。うーん、なんとも見事なすみ分けになっているような気がしてなりませんが、著者は党首選挙で自分なりの安保・防衛政策を訴えたいとのことでした。
その中で、全然知らなかったのですが、「『抑止』とは政治、軍事の世界においては『核兵器による威嚇及びその使用』とほぼ同義語」とありました。「ホントに?!」と思ってちょっと調べてみましたが、この辺りは後日また書きたいと思います。その上で著者は「核抑止抜きの専守防衛に徹する」というのが著者の主張です。「核抑止抜き」については「国土の防衛というのは、究極的には国民の覚悟の問題だということである。自衛隊の装備や隊員の覚悟ではなく国民全体の覚悟である。」、「国民がそういう覚悟を持つには、日本という国が、国民に覚悟を持たせるに値する国になっていることが不可欠だということである。」という主張でした。要は核兵器があっても、国民の覚悟がなければ意味がないし、なくても国民の覚悟があれば責められないということなのでしょうが、思いっきり精神論で、共感できる部分もあるものの、竹やりで戦わされるような印象を受けてしまいました。
また、核抑止力に頼らないための手段として「北東アジア非核地帯条約をつくるとすれば、締約国は日本、韓国、北朝鮮(核兵器を廃棄させた上でだが)、さらに必要ならモンゴルも加わることになるだろう。そして、五つの核保有国(米英仏中ロ)に対して議定書の署名、批准を求めるわけである。」とありました。いやいや「北朝鮮(核兵器を廃棄させた上でだが)」ここどうするのでしょう?なんとも現実味の無いお話です。
これも知らなかったのですが「日本共産党は、国連の代表権は中華人民共和国にあるべきだと、一貫して主張し続けてきた党である。」とありました。だからなのか、台湾を独立に向かわせず、中国は台湾に対して武力を行使しないことを、日本の外交方針として主張すべきとありました。ウイグル、チベット、南モンゴルについては一切触れずにこんなことを言うのですから、もう訳が分かりません。
そんな感じでしたので、著者が党首公選制を主張しているという話を聞いた時には「いいぞ!やれやれ!」なんて思っていましたが、党首公選制が実施されたところで、やっぱり党首になる方の主張は共産党なわけで、ある種まともな主張で除名にさせてしまうくらいの党でいてくれる方が世の中からすれば安心なのかもしれません。本書を読んでいる間に、もう一方、日本共産党を除名になってしまったようですが、今後はあまり派手に除名とかやり過ぎて、本当の改革が始まらない程度に訳の分からない主張と続けて頂ければと思います。