熱くなれ 2
昨日の続きです。
ネットの記事にもなっていましたが、稲盛氏が中途採用の社員とコンパ(懇親会)をしていた時のエピソードは秀逸です。稲盛氏が自分で答えるからと質問を募ると、一人の社員が「社長、おかしいじゃないですか、この会社は朝礼はさせられるわ、体操は無理矢理させられるわ。本来、自由な人間をつかまえて、なんですか、これは」という方が出て来たそうです。インタビューを受けていた方も「よう言うた」なんて思っていたそうですが、稲盛氏は「あなたは社会と企業を混同していますよ。社会というのはね。あなたが言うようにみんな自由な社会だ。(中略)だけど企業っちゅうのはね、社員たちを食べさせて、税金を払って国に貢献して、そして会社を成長させて社員の将来まで保証せんといかん。そうしようと思ったらね、それなりの企業としての性質ちゅうか、意思が要るんです。」と答え、あまりにも明快だったので、この方も驚いたとのことでした。
ソ連にプラント輸出を行った際のエピソードが掲載されていました。交渉の過程については機関誌などにも書いてあり、その妥協しない姿勢は参考にさせて頂きましたが、本書にはそのあたりのもっと深いところが書かれておりました。価格で妥協することなく、契約までこぎつけた後、稲盛氏は担当者で、本書でインタビューを受けられている近藤氏に「契約書を暗記するまで読め、向こうがどういうことを求めているかをまず理解せよ」と指示をしました。そして、「それは最低限のものや」と付け加えたのだそうです。法律やルールは、守るのは当たり前、京セラはそれを超えて、倫理で行くべきで契約書以上の仕事をしなさいと、近藤氏は解釈したそうです。私はと言えば、金額に妥協しない姿勢ばかりに目が行って、この後のエピソードは初耳、仕事でこんな姿勢にはなっておりませんでした。今後大いに反省して、契約書以上の仕事ができるように努めたいと思います。
KDDI創業当初のエピソードで、新人たちが上層部の考えを知るためにシュレッダー当番を取り合ったとありました。上層部が五階で会議をしており、シュレッダーがあるのは一階、会議終了後に文書を破棄するように当番が頼まれるのですが、1階まで運ぶ途中に中を見て情報を得たとありました。そこまでして、上層部の考えを知り仕事に活かそうと新人たちが考えているというのですから、凄い会社です。
凄い内容であっという間に読み終わってしまいましたが、よく咀嚼して行間を掴めるような読み方もしないといけないなと思いました。再読必至です。