やさしい猫

 NHKドラマ「やさしい猫」を観てはいないのですが、内容が漏れ伝わってきました。スリランカ人の男性と、震災ボランティアで知り合った日本人のシングルマザーが、その後運命的な再会を果たし、結婚するも、男性のオーバーステイがはっかくし入管施設に収容され、母国への強制退去を命じられてしまいます。偽装結婚も疑われ、絶望する二人ですが、弁護士を通して裁判を起こし、在留特別許可を得ようとするお話です。「ただ家族3人で暮らしたいだけ…」なんて言うフレーズは、日常生活を権力に壊されたような被害者意識を掻き立ててくれます。

 こうした作品を見ないでいろいろ言うことはあまりしないのですが、放送されたのが入管法改正に合わせたようなタイミングなのが気持ち悪いです。しかしながら、日本人と結婚してしまえば問題ないのかと思っていたのですが、調べてみるとオーバーステイのまま結婚しても、オーバーステイはオーバーステイで強制送還されてしまうようです。現状の入管法については、ちょっと中途半端ですから、難民申請とかをして強制送還をされないような方法があるようですが、そうしたところまでは盛り込まないでしょうね。

 そもそもオーバーステイをしている時点でアウトなわけですから、きちんとした手続きを踏んで、結婚すればよいのです。ただ、1度強制送還されてしまうと5年間は再入国できず、2回強制送還されると10年、しかもそれが明けても、オーバーステイの記録は残り続け、入国の際の不利な条件となるそうです。「ただ家族3人で暮らしたいだけ…」とありますが、それならスリランカに行くのも選択肢でしょう。

 原作があるとも聞いたので、原作を読んでみようと思ったのですが、2090円とお高いので買いませんでした。2020年5月から2021年7月まで新聞に連載された小説で、先日通った改正入管法は2021年の5月の国会で、ウィシュマさんの事件もあり一度廃案になっていますから、何ともおかしなタイミングに思えてしまいます。

 昨今、川口市でクルド人と言われる方々が騒ぎを起こしていますが、一方で、入管難民法の改正に対して、川口市内で仮放免を受けているクルド人が、法改正に反対する記者会見を開いたりしています。これって、結局、中途半端な入管難民法によって日本に在留しているクルド人が問題を起こしているってことでしょう。改正入管難民法が通ってよかったですが、施行には1年以上かかります。先日も書きましたが、LGBTよりもこちらの施行を急いでほしいものです。

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