2学期始業式 校長挨拶

 約40日間の夏休みも終わり、今日から学校が再開となります。この40日間でどのように時間を過ごし、どのような体験や出会いがあったでしょうか。勉強、進路関係、部活、アルバイトなど、それぞれの過ごし方があったと思いますが、有意義に時間を活用できたでしょうか。僕は息子とカブトムシを捕まえることに熱中し、この夏30匹以上捕まえることに成功しました。怖がりながらも、カブトムシを手で持った時の息子の表情がとてもキラキラしていて嬉しそうで、こちらもたくさんのハッピーをいただきました。この時期になると1匹、また1匹と死を迎えるカブトムシたちに、心を痛めていますが、これもまた大切な学びの瞬間です。「この夏、うちに来てくれてありがとう」と言いながら、土に返していく毎日です。

 この夏休みの期間、あることについて考えていました。この先の時代、必要なことは山ほどあります。本屋に行けば、身につけるべきスキルの本や、AIの活用についての本など、いわゆる「How to本」というものが並んでいます。インターネットでもそういったスキルについてすぐに検索でき、どれも簡潔にわかりやすくまとめられています。しかし、そのどれもが表面上をスプーンですくったような内容ばかりで、非常に浅い、短絡的なものが多くあります。それらの表面上の意味を理解したとして、絶えず変化し続け、これまでの常識が通用しない時代を生きていくことってできるのか。スキルや能力は絶対に必要です。間違いなく。必要ですが、それ以上に必要なものがあります。それは「共感性や倫理観」というものです。主体性が大事、自立が大事とよく言いますが、そのさらに根本にあるのは、他者視点で考える力や、自分が取ろうとしている行動へのモラルがあるかどうかです。共感性や倫理観なくして、主体性を身につけたり、自分ごとに捉えて行動することはできません。

 他者視点で考えた際、今、御殿場西高校の現在地はどうでしょう。1学期の終業式でもお話ししましたが、御殿場西高校は「居場所と出番を作り続ける学校」を目指しており、安全な場所、安心できる場所、そしてみなさんのホームになることを目指しています。今いる生徒である皆さん、保護者、卒業生、地域、そしてこれから本校への入学を考えてくれている中学生たちやその保護者たち、そういった方々にとって、今、御殿場西高校はどう捉えられているか。それも共感性であり、倫理観だと思います。自分たちの今が良ければという発想では、つまらないです。今、本校に関わる皆さんが誇れる学校を作っていくことと、これからの御殿場西高校のことを、これから新しく関わっていく人たちが誇りに思える学校にしていくことが、今いる僕たち全員がやっていかなくてはいけないことだと思っています。生徒の皆さんも、そこに向き合っていきましょう。そして、私たち教職員も、生徒一人一人と向き合い、ともに笑い、ともに楽しみ、ともに熱くなり、同じ涙を流すような存在になっていきたいと思っています。褒めることもあれば、厳しく叱ることもあります。本気で向き合うからこそです。僕たちは生徒の心に情と熱を注ぎ込むために教師をしています。目の前の生徒のために本気になる、熱くなることは当然です。ともに熱くなって、一緒にいい学校を作っていきましょう。

 さて、今日から2学期がスタートします。いろんなことにチャレンジしていきましょう。いつでも校長室は空いていますので、相談等お待ちしています。また、3年生にとっては大切な進路選択の時期です。僕にできることがあったらなんでも言ってください。できる限りのサポートをしていきたいと思います。地震や災害も続いていますので、安全な防災に対する意識も全体で高めていきましょう。

令和6年度9月3日(火)

御殿場西高等学校 校長 勝間田貴宏

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