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ユニット・リンク介護プラスの広告がおかしい点について

久しぶりに「おカネのミカタ」の投稿です。

下の記事がツイートされているのを見かけました。アクサ生命の変額保険ユニット・リンクにとってつけたような介護保障をつけた「ユニット・リンク介護プラス」という商品を介護保険として紹介している記事に対するツッコミです。

リスクの高い運用商品であるユニット・リンクを介護保険として紹介する日経のクオリティはさておき、アクサ生命のホームページで「ユニット・リンク介護プラス」の商品説明を見て、ちょっと気になる部分がありました。

商品について、設計書のような詳しい情報が公開されていませんが、おそらく、契約者様が長期にわたって効率の悪い積み立てで、やっと築いた積立金を原資にして、高齢期の介護費用を賄う保険に再度入るみたいな、アクサ生命にしてみれば1粒で2度おいしい商品という感じなのでしょう。

まあ、今回はそれをとやかく言うつもりはなく、気になったというのは、商品説明で使われている下のデータとその見出しです。

平均寿命ー健康寿命=介護などを要する期間
生活全般に手助けが必要となるのは「要介護2」から

このようにデータの見出しを見ると、男性も女性も平均的に70歳代前半で要介護2となるように思ってしまうのではないでしょうか?

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そうすると、ユニットリンク介護プラスの介護保険金の支払事由である「要介護2以上の認定」というのが、結構差し迫ったリスクに感じられ、保険の必要性をアピールすることができるわけです。

しかし、平均寿命と健康寿命の差である10年(男女平均)を、要介護2以上の期間として見ることは間違いです。

厚労省の「健康寿命のあり方に関する有識者研究会」の報告書(2019年3月)に掲載されている下の図表をご覧ください。

平均寿命を表す黄色い矢印と健康寿命を表す赤い矢印を並べているのは、アクサ生命と同じですが、これにもう1つ「要介護2以上になるまでの期間」として青い矢印が追加されています。

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これによると、要介護2以上の期間は男女の平均で2~3年程で、アクサ生命の10年と比べるとずいぶん短くなります。

アクサ生命は、介護に関するデータを歪めることなく、消費者が正しい情報に基づいて保険の購入に関する意思決定ができるようするべきではないでしょうか。

そういう意味では、ユニットリンク介護プラスを検討するうえで必要な情報は、例えば下のようなものではないかと思いますがいかがでしょうか。各年齢階層の人口に対する要介護2以上の認定者の割合です。要介護2以上の割合は80歳代後半から高くなるようです。

要介護2の割合

これをみると、「65歳以上の約5.6人に1人が要介護認定者」というのも消費者に錯覚を与えるようなものになっているような気がします(国民の2人に1人がガンにかかる、ってやつと同じ古典的な手法ですが)。

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