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食糧危機は本当に来るのか!? 〜安曇野で就農した農家の考察〜

みなさんこんにちは。

この冬は、もう2月も下旬だというのに朝晩はキンキンに冷えた日々が続く信州安曇野です。


そんな中、先日は地域の仲間たちと「いただきます2 オーガニック給食編」吉田太郎さんのオンライン講演会を開催しました。


この「いただきます2」という映画は、今日本各地で起こっている有機学校給食のムーブメントの中で先進的に実施している自治体を取り上げた映画です。これからの地域の農業生産と消費のあり方を問うようなずっしりしたメッセージが感じられるのですが、子どもたちが笑顔で田畑や農家と関わるシーンが多く出てきて、終始和みながらリラックスして鑑賞できます。

吉田太郎さんという方は、現在長野県に任命され県職員として有機農業を推進する役割を担っています。既に著書も多数出されていて、専門家のようなお方です。
世界各国の農業生産から流通、消費についての最新情報を教えてくれるので、今回僕たちが開催した上映イベントのためにやってくれた講演はぜひ観てみて欲しい。人類が持続可能な営みを実現していくためのヒントが溢れています。

今この「いただきます2オーガニック給食編」がものすごい勢いで全国各地で上映されているそうで、吉田太郎さんも長野県内では講演依頼で常に引っ張りダコなんです。(僕たちの地域安曇野にもけっこうな頻度で足を運んでくれています。)

たまに目にする新聞やテレビ番組でも、「有機」というワードがよく飛び交うようになったきがして、ついにすごいムーブメントが起こり始めている気配を感じます。

一方YouTubeで、「ものすごく再生されている農家YouTuberの動画があるぞ!」と知人から聞いたので観てみました。

鹿児島のとあるアスパラ農家のおじさんが日本の農業の現状を語り、「食糧危機がくるぞ」と言っています。ぜひ観てみてください。

この動画を皮切りに、色んなYouTuberが(特に農家YouTuber)日本の農業や食糧事情について思うことを次々に発信しだしています。

以下、参考までに僕が視聴した動画↓

他にも「食糧危機」で検索すると、いーーーっぱい動画出てくるので観きれません^^;

動画の内容には僕も共感する部分もいくつかありますし、確かに僕も安曇野で農業をしているだけですが食糧危機の気配も感じていました。

ですので今回の記事では、安曇野で新規就農した僕がこの国の食の行く末を考察しつつ農業の最新ニュースをお届けします



主食のお米がついに自給率100%を下回る!?


アンテナが高い方は既にご存知かと思いますが、昨年の一般米価は稲作農家にとって衝撃的なものでした。戦後、アメリカから大量の穀物を押し付けられるようになってから、消費量と共に右肩下がりに落ち込んでいたお米の価格が、一俵(60kg)1万円を下回りました。中には一俵7000円なんて地域もあります。1kgあたり約100円ですよ!

何が衝撃かというと、生産経費より販売価格が下回ってきたのです。

一般的にお米一俵つくるのにかかる経費は約13000円と言われています。(2019年農水省調べ)ですのでここまで米価が下落してしまうと、農家はお米を作れば作るほど赤字が増えるというとんでもない事態になってしまいます。それが現実に起きています。

この米価の下落の主な要因は、コロナ禍による外食産業の低迷に伴う米消費の低迷でとされていますが、果たしてどうなんでしょう?

外食しなくても家でお米食べますよね?

いずれにせよ、生産者も消費者も意識を高めていかないと後々自分が困る状況になるような気がしてなりません。

この米価が続くと、2〜3年で米農家は破産すると身近な農家は言います。


一つ質問。

そこの奥さん、食は、お米は安いほど嬉しいですか?

自分はスーパーでお米を買ったことはほとんどないので、その立場の人の気持ちは分かりかねる部分もありあますが、「安いお米をチョイスし続ける人が多い」ことが、「北アルプスの麓に田園風景が広がる美しい安曇野の景色」を壊すことと繋がっている。そんな因果関係が僕には今見えています。安曇野だけではありません。田舎の故郷に帰った時、旅先で見る田畑を含めた景色、それらを買うという行動により作りあげているのは他でもない自分たちなのです。

あまり好きな響きではありませんが、田舎の田園風景、食文化、農家を維持しているのはビジネスでありお金です。農家が先祖伝来の農地を守れるかどうかは、そこにお金を落としてくれる人が居ないといけないのです。国民一人ひとりが何で腹を満たすかで田舎の未来が変わるような気がしています。

さて奥さん、今日の晩ご飯は何にします?

お父さん、今日の晩酌はビールですか?たまには日本酒もどうですか?


5年後、大豆、麦、そばなどの価格が大波乱の予感


米価の他にも、今全国の農家に衝撃が走っていることがあります。

それは、
「水田活用の直接支払い交付金の見直し」です。これはみんな知っておいた方が良いかもしれない。

見直し内容は、
令和4年度から5年の間に水を張って稲作しない農地は、今後補助対象から外す。というものです。

「水田活用の直接支払い交付金」
聞き慣れない名称かと思いますが、名前は覚えなくてもけっこうです。

見直しの内容が農家と消費者を将来苦しめる可能性が高いという話です。

みなさんは、味噌、醤油買いますよね?

国産小麦のパン、美味しいですよね。

お蕎麦は好きですか?
僕は信州に移住してからその美味しさに気づき、ハマってしまいました。


みなさんのその食べる楽しみに暗雲が立ち込め始めています。


もう一つ質問です。
「減反政策」はご存でしょうか?
先程の米価の話にも繋がりますが、減反政策というは、戦後アメリカからの穀物輸入が始まってから、お米が余ってきたから田んぼを畑に変えて畑作物を作ってね。いろいろ大変だろうから転作した面積に応じて交付金出すから、やってね(強制)。

というもので、国が各都道府県に水田作はこのくらいで、転作はこのくらいやってね。と、毎年具体的に面積を指定してきます。

農家はこれに応じてきました。

いくら交付金が降りるとは言え、今まで稲作を頑張ってきた地域が違う作物に取り組むには、新たな設備や道具、機械、知識が必要になる訳で、いくつもいくつも壁に当たりながら田んぼを畑に変え、大豆・小麦・そばなどを作ってきたそうです。


その減反政策が始まってから約50年。
(正確に言うと減反政策は2018年に突如として廃止されていますが、詳細はまた別の話で)

交付金制度に大きな見直しがかかりました。

令和4年度から5年の間に水を張って稲作しない農地は、今後補助対象から外す。というものです。


と言うと、どうなるの?というと、

何十年も畑として作ってきた農地の中には、隣接する水路が既に機能していない農地が多くあり、水田に戻せない。また、せっかく排水性の良い農地になってきたのに、一度水田に戻してしまうと、培ってきた排水性がリセットされてしまう。ということが農家から上がって、この制度見直しについては炎上状態です。


国が代替えとなるような交付金制度を打ち出さないと、5年後に「交付金降りないなら採算合わないしここの耕作辞めるわ」の嵐が予想されます。

(国産の大豆や麦はとっくの昔に輸入物によって価格破壊されていますので、交付金無しで利益を得ていくのは非常に難しいのが現実です。)


結果、国産の大豆、麦、そばなどの生産量が減り、価格が高騰するかもしれません。

それに伴い、みなさんのお気に入りの味噌、醤油、国産小麦パンの値段も高騰するのではないでしょうか?

農家、味噌屋さん、パン屋さん、蕎麦屋さん、そしてお客さん、
一体誰がこの制度見直しで得をするのでしょうか?…
政府への不信感が募ります。

今、農業の現場は混乱状態です。





∞∞∞∞   まとめ    ∞∞∞∞


米に畑作物、いずれも厳しい状況になりました。

まさに日本の農業は、飛車角落ちて、大手をかけられている状況に見えます。

「うわぁ〜自分ボコボコにされてる。。。」

将棋の強かったじいちゃんにドンドンと攻め込まれた記憶が蘇りました笑

しかし、じいちゃんはいつもハンデとして、飛車角を抜いた状態で対局を始めていました。

強い駒が無くとも、知恵と戦略があればいくらでも切り替えせると、蘇った記憶から感じました。

そして今、自分が、北アルプス高橋農園が取り組んでいる有機農業と、買い支えてくれる消費者との関係性に、この危機を打破する希望を感じています。

次の記事にはその希望を書きたいと思います。

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