不器用なところ
凜ちゃんへ
お返事どうもありがとう。
凜ちゃんの、その地獄のような好奇心旺盛の姿勢によって、周りから怖がられることはなかなか辛いことだと思います、あったかいお茶でも飲んでください。
なにか知識が豊富な人の前だと自分に自信がないが故に、なんも知らない奴だと思われてしまったらなと自分を守りたくなって、それで「そのリップどこの?」って聞くのを躊躇ってしまう人のことを私はよくわかる。相手はそんなことでマウントしないってわかっていても、知らないから教えてって言ったら優しく教えてくれる人は沢山いるはずなのに否定されてしまったらと思うとやっぱり怖い。その分コラムって形だと、いいね、語りたい者は語れば良い。知りたい者はその記事を読みにいけばよい。探究している者の語りを読みやすい形で読者は求めているので凜ちゃんのお薦めのリップがあったら、それはもう気になって鵜呑みにして夜中にマツキヨでも高島屋でも買いに行ってしまうかもしれんよ。ちなみに今リップ何使ってますか?
わたしは面倒な人間というよりも不器用な人間で、わたしという像を通すと自分の気持ちや思いを外に出すことがほんとにうまくいかない。
顔や態度で気持ちを表現できないから、思ったことを言葉で発してみたら、そんなこと思ってたの?!と意外がられるし、伝え方もうまくないから人を傷つけたり、誤解されることが多い。自分の気持ちが人に知られるのを恐れ、わかってもらえないだろうと諦めていたり、察してくれないかなと勝手に願ったり、矛盾した複雑な気持ちがどこかにたどり着くこともなくもやもやと宙に浮かんでいる。家に引きこもって、人と人が本当に分かり合うことなんてこの世に起こり得ることはないんだ…ととてもとても弱腰に枕を濡らし、卑屈に布団の中から世の様子を画面を通して見ては、みんなは楽しそうだな、と落ち込みふて寝する(書いてて恥ずかしい)。たまに現れる、わたしのもじもじしたうまく伝えられない気持ちに耳を傾けてコミュニケーションを取ろうとしてくれる人を前にしたら、全部見透かされてそうで怖くて、情けなくて逃げてしまう。
この前、バイト先のお姉さんに、「好きなラーメンを食べても、吉祥寺でお買い物しても最近何か満たされない」と話したら、「それはしめちゃんが自分の現状に満足できてないから満たされないんでしょ」とぴしゃりと言われ、その通りで、なんも言えなくて恥ずかしくて急いで帰った。「そうなんですよ」って言って相談したらよかったって家で落ち込む。(急いで帰るようなところが自分の強がりな性格をよく表している。)でも人に相談したり頼ったり甘えたりするのはずっと難しい…と文通で相談させていただいてます。その次の日のバイトはミスをしまくっちゃうし、(お金が絡むミスは人の信頼を失う)自分の現状にはそりゃ全然満足できなくて、アルバイト暮らしでこのままやっていく自信もないし、毎日不安だな。
「人に何かを伝える時はあなたが思っている3千倍努力しなさい」と5年前に大学のデザインの先生に酷評された時に言われた言葉は今でもしっかりと胸に刻まれていて、なるべく丁寧に自分の気持ちを汲み取り伝えようとすることを意識して今回文章を書いてみました。キャスキットソンの財布、私のは壊れて実家の机の引き出しで眠ってる。
柚実より