LGBTを巡り、海外の教育現場で起きていること
前回、前々回の投稿では、性の多様性について教科書ではどのように記述されているかの実例を紹介した。
今回は、性的指向や性自認を巡り、実際に海外の教育現場で引き起こされている問題や混乱の事態を紹介したい。
寛容な心をもって多様性を理解することは大切である一方、社会制度として考える場合には、以下に示すような現実もあることを踏まえる必要がある。
<イギリスの例>
イギリスでは、性的自己決定権を強調する包括的性教育によって性転換手術をする18歳以下の子供が急増し、2009年の77人から10年後には2590人に増え、「性自認」をめぐるトラブルが急増し、英唯一の児童ジェンダー医療機関が今春閉鎖され、ホルモン治療・外科手術等を中止した。
「トランスジェンダーであると主張した性犯罪者が女子刑務所に収監され、女性の囚人をレイプ」「性別違和を訴える思春期女子が急増」「思春期抑制剤や性交差ホルモンの投与、外科手術など性別適合治療を受けた後で健康被害を訴えたり、元の性別に戻す事例が現れる」など、LGBT問題、特に「性自認」をめぐるトラブルや事件が頻発している。
スコットランドでは性別変更の要件を簡素化する法律が昨年末に可決されたが、女性スペースが危機にさらされるなどの批判もあって英国政府が実効化を阻止。スコットランド住民を含む国民の多くが英国政府の判断を支持し、その他の政策課題の失敗も絡んで、スコットランドのスタージョン自治政府首相が辞任に追い込まれた。
一方、英国政府は「同性愛を治療する」転向療法の禁止の法制化を準備しているが、そこに「性同一性」に関する転向療法禁止を含むか否かで激しい議論となっている。「性同一性」を含む政府方針に対して、与党である保守党内部から「子供を心配する親、教師、医師などを犯罪者にする恐れがある」という反対意見が噴出し、キリスト教からも教会指導者1400名が連名でスナク首相に反対の手紙を提出するなど、大混乱が生じている。
このようにLGBT問題は、イギリス国内で地域・与野党・与党内対立が先鋭化し、様々なレベルで政局の火種となっており、政権瓦解、さらには国家分裂につながる危険性を孕んでいる。「G7国で日本だけが遅れている」などという英米の深刻な現実を知らない無責任な日本のマスコミ報道に騙されてはならない。
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