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幸福の公共政策と広井良典「地球倫理」



⚫︎幸福の公共政策

イギリスの国際経済誌『エコノミスト』の2010年11月に出た日本特集号の表紙(写真参照)は、大きな日の丸の下で少子化、高齢化によって子供がつぶれそうになっていて、「日本の負担」と書かれている。 

参照:https://www.fujisan.co.jp/product/1281679816/b/455113/


人口減少社会において、重要な鍵を握っているのは「持続可能性」と「幸福(ウェルビーイング)」という“車の両輪”である。

現在の日本社会は、財政あるいは世代間継承性における持続可能性、格差拡大と人口における持続可能性、コミュニティないし「つながり」に関する持続可能性は危機的状況にある。

日立京大ラボの研究グループはAIを活用した日本社会の未来シミュレーションを行い、
①人口
②財政・社会保障
③都市・地域
④環境・資源
という4つの持続可能性に注目し、日本が2050年に向けて持続可能であるための条件やそのためにとられるべき政策を提言する内容の成果をまとめた。


その結果、日本社会の持続可能性を実現していく上で、「都市集中型」か「地方分散型」かという分岐が最も本質的な選択肢であり、人口や地域の持続可能性、そして健康、格差、幸福などの観点から「地方分散型」が望ましいという結論になった。 

内閣府に設置された「幸福度に関する研究会」の報告書が2011年にまとめられているが、全国各地の市町村が「幸せリーグ(住民の幸福実感向上を目指す基礎自治体連合)」というネットワークを2013年に発足させ、現在約80の市町村が参加して、幸福度に関する指標づくりや政策展開について様々な連携を深めている。 

内閣府の研究会の一員である京都大学「人と社会の未来研究院」の広井良典教授は、図表のように「幸福の重層構造」を捉え、政府ないし行政が「幸福の公共政策」として重点的に取り組むべきは、「幸福の基礎条件」あるいは「幸福の土台」と呼んだ、ピラミッドの下部の「生命/身体」に関する領域に関する保障である、と指摘している。


社会ソリューションイニシアティブより引用「「幸福政策」は可能か
~幸福の重層構造から考える~(広井良典)」


欲求5段階説を唱えたマズローは晩年、欲求の階層構造の最後に位置付けていた「自己実現」の上に「自己超越」という次元を付け加えた。

マズローによれば、「自己超越」とは、「自分自身、そして大切な他者、人類全体、他の生物、自然、そして宇宙とつながること」を意味している。 


(同前)


⚫︎広井良典「地球倫理」とは何か

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840字

①歴史教育、②家庭教育、③道徳教育、④日本的Well-Being教育の観点から、研究の最新情報や、課…

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