ウェルビーイングを日本の心「道・和・幸せ」と捉え直した道徳授業の試み
今回は、ウェルビーイングを日本の心「道・和・幸せ」で捉え直した川崎市立久本小学校の早田保美教諭(髙橋塾生)の道徳授業の試みについて発表した内容を紹介したい。
まず、今注目されている「幸福学」とは、「よい人生だから幸せ」ではなく、「幸せだからよい人生」だと捉え直して、自らの人生の幸福度を高めていく学問である。
幸せは道の頂上にあると思っている人は、努力している途中で苦しいので挫折してしまう。
反対に一段昇るだけで成長した!幸せだと感じられる人は楽しいので、目標までに昇ることができる。
幸せの「道」を求める時に大切なことは、今を輝かせて生きること。夢を細分化し、10分の1の「ちょい難に、ちょこっと挑戦」することである。
第一に、幸せの軸となるのは、自分の本当の心「真心」である。
自分の真心を掘り当てた時に、感動したりワクワクしたりする。
感動やイキイキワクワクは自分を本当に知る最強のコンパスといえる(感知融合の道徳教育の「感じる」「気づく」「見つめる」の視点に立脚)。
第二の幸せの軸となるのは「和」の心である。幸せは一人で達成するより、人とつながって調和しながら達成する方が、圧倒的に幸福度が高まり、持続し広がっていくと言われている。
幸福学の第一人者である前野隆司氏によれば、幸せの4つの因子は「やってみよう」ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」である。
そこで、まず「やってみよう」の心を育てる5分間ワークを6回行い、自分の「イキイキワクワク」を見つけようということで、次の質問について書きだしたものをグループ内で対話して交流を深めた(感知融合の道徳教育の「深める」「対話する」の視点に立脚)。
これを踏まえて、光村図書の小学校5年生教材に掲載されている大谷翔平の目標達成シートを使って、大谷翔平が夢の階段を一つひとつ上がっていった足跡をイメージさせながら、大谷の気持ちについて考えた。
大谷翔平が高校1年生の時に書いた目標達成シートの内容で子供たちが最も注目したのは「ゴミ拾い」「部屋そうじ」「あいさつ」などで、このような「人のためになる行動も夢につながるのがすごいと思った」「自分も目標達成シートを書いてみたい」などの感想が寄せられた。
そこで、子供の発達段階を踏まえてそれぞれの夢や目標を4つのウィンドウに書かせて、それぞれが書いたものを「聴く・うなずく・あいづち・いいところを見つける」を4本柱とした「和」の時間として、感知融合の道徳教育の「深める」「対話する」視点に立脚して交流し、お互いの思いをペアで語り合い、次々とペアを交代させ、感想や気付きを分かち合った。
次に、「感知融合の道徳教育」の「協働し、働きかける」という視点に立脚して、自分が書いた4つの行動や気持ちの中から、これから実際に行動を起こしていくとして、一番ワクワクする、一番推しの「アクションプラン」を決めさせ、友達とフォローし合った。
そして大谷翔平の「人生が夢をつくるんじゃない。夢が人生をつくるんだ」という言葉を紹介しながら、夢をかなえていくまでの道を提示し、「幸せは道の頂上にあるのかな?」と質問すると、「一歩上がったところ」と答えた。また、努力している自分がすごい、偉い。
だからもう幸せなどの意見がどんどん出るようになった。
●「幸せ」と答えた小学生が4名から28名に増えた
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